43話 ケイティの魔法
ケイティは真剣な表情になると手のひらから水を出現させ、空に手を振り上げ霧のように撒いた。日の光に照らされて虹ができる。神秘的で綺麗だ。
「わぁ。綺麗……」
「すごいな、こんなに細かく操れるのか……」
私とライオネル殿下から感嘆の声があがる。
「へへ、フィリップ殿下のおかげですよ! 大雑把な魔法は元々できるんですけど、繊細なことが難しくて、教えてもらいました」
ケイティは照れたように頭を掻きながら、笑顔でいままでの過程を話す。フィリップ殿下が教師として優秀だというがそれをこの数か月でできるようになってしまうのだ、ケイティはやはり素質があるのだろう。
ふと思い出したけど、これゲームだと氷柱とか降ってくる攻撃エフェクトだった気がする。大魔法使いの片鱗が見える。
「水魔法はケイティが得意とする魔法だよ。ケイティは読み込みも早いんだ」
フィリップ殿下もべた褒めだ。将来のケイティに得意分野という枠はないから、きっと魔法がバレた時の名残ね。
大魔導士が語った過去では、ケイティが火事を魔法で消火したところを国で保護されたのよね。それまでは魔法を隠して過ごしてたから、待遇で揉めた。ケイティは家族と離れるのが嫌で、貴族ばかりの学院に行くことで国と話をつけたんだったはず。
「得意ということは他の魔法も?」
ライオネル殿下が食い気味だ。ケイティの優秀さがわかってきたらしい。
「は、はい。特殊な魔法以外は適性があるみたいで……」
ケイティはかしこまって、手をもじもじとしている。
なんといっても生活の中でも魔法を駆使するくらいだものね。風も火もお手の物だったはず。
「じゃあ、そろそろシルヴァレーン嬢の魔法練習をしようか」
いよいよ私の番ね。でも、教え上手なフィリップ殿下に教えてもらうべきか将来の大魔法使いのケイティに教えてもらうべきか、悩みどころね。ライオネル殿下は何か意見あるかしら? ちらりと彼を見れば、肩を竦められた。どうやら好きにやれということらしい。
「私、ケイティに魔法教えてもらおうかしら」
「え!?」
驚くケイティに笑いそうになったけど、そこは抑えて、自分の意見が通りやすいように至極まともな意見を述べておく。
「できることを人に教えるとさらに勉強になるって言うじゃない?」
「ああ、いいかもしれないね」
反応したのはフィリップ殿下の方だった。
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