42話 第一王子と平民の魔法訓練へ参加
ライオネル殿下に頼んでから、しばらくは大きなこともなく過ぎ去った。もちろん手紙は形式上で返しておいたし、それから何故か手紙のやりとりが発生しているのだけど。顔を合わせて話をするというのも生徒会の仕事をしていたら難しい日もあるから、報告書として役目を果たしている。
数日前、手紙でフィリップ殿下とケイティの魔法訓練に参加できる日取りが決まったと連絡があった。だから、今日は放課後、生徒会には行かずにライオネル殿下とともに校舎の裏にある庭園へと来ている。
フィリップ殿下とは学年も違うし、生徒会でもケイティとの魔法訓練の後に来るのであまり深い話をしたことがない。私は主に生徒会ではアウレリア様と一緒に行動しているので、ライオネル殿下と話している印象が強く、兄弟の仲は意見を言い合えるほど良好だ。
挨拶をお互い交わした後、フィリップ殿下は笑顔でケイティに今日が特別だと告げた。
「今日は、シルヴァレーン嬢とレオが一緒に魔法の練習をするよ」
「わぁ、ミシェル様と一緒に練習ができるんですね!」
「ええ、ケイティよろしくね」
ケイティは目を輝かせて私の手を取って来たので、私もぎゅっと握り返す。ライオネル殿下が無礼だというように眉をひそめたけど、無視した。だって、やっぱり接点がなさ過ぎて今日までケイティとまともに話せてなかったのだから、仲良くやりたい。
「はあ、三人も麗しいお顔が揃うなんて、なんて眼福……」
目がうっとりとしていて、ケイティは自分の世界に入り込んでいる。そういえば、綺麗な顔が好きなのよね、貴方。でも、その顔のまま練習続行は無理じゃないかしら?
「ケイティ、もう少し顔を引き締めた方がよろしくてよ?」
「は!」
こっそりと耳打ちすると正気に戻ったのか、頬をぺちぺちと叩いて表情を引き締めていた。
「しっかりしてちょうだい。ケイティが先に魔法練習をしているのだから、ここでは先輩なのよ」
「センパイ……!」
目がキラキラと輝いて興奮しているケイティは可愛らしい。
私たちの話を聞いていたフィリップ殿下が、会話に入ってくる。
「先輩か。それじゃあケイティがどこまで魔法を使えるようになったか二人にも見てもらおうか」
「はい!」
フィリップ殿下の提案にケイティは元気よく返事をした。ライオネル殿下と私は一歩下がるように指示をされて二人から少し距離を取る。
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