40話 もうひとつの案
こほんと咳払いしてから「悪かった」と言われたので、謝罪は受け入れておく。そして、ズレてしまった会話を軌道修正する。
「ケイティと話ができるのであればもうひとつの案として、魔法を教えている現場に私が参加することも考えてます」
「占いの魔法の開花を目指す名目ならいけそうだな」
案外、こちらの案の方がライオネル殿下はよかったらしい。すんなりと許可が出そうだ。ただ懸念点はあった。
「占いの力の素質はないのですが、それでも可能なのですか?」
「力はなくとも占いで当てているという実績があるから、それでごり押しだな。見学なら別に魔法が使えなくても、問題ない。ただ、俺が付き添うことにはなる」
問題ないならよかった。この口ぶりならライオネル殿下が手配してくれそうだ。ただ、ライオネル殿下付きらしい。どうせ平民街へ行くにしてもまたついて来そうだったし、今話した内容以外でケイティとしゃべるとしたら小説やアウレリア様のことだけだから、ライオネル殿下が居ても問題はない。フィリップ殿下が居るのに恋バナとかはさすがにしないだろうし。けど、どうして付き添うことになるのかは気になる。
「……何故、ライオネル殿下が付き添うのですか?」
「仮にも婚約者を兄上と一緒に居させるのは、外聞が悪くないか?」
そっちの心配か。でも義理の兄と仲良いのは良いんじゃ? ただフィリップ殿下はご令嬢の注目の的、ケイティとの噂はすでに耳にタコできるほど蔓延っているから、その中心地にひとりで突っ込めば、それはそれで噂に新たなネタを提供することになってしまいかねない。
「で、あればいいですけど……ライオネル殿下は魔法を使えないのですよね?」
「ああ、俺は使えない。使えたら俺が教えればいいってことになるだろ」
「たしかに。であれば、後はライオネル殿下にお任せしますね。見学だけでもいいのでよろしくお願いいたします」
「解った」
不満もなさそうにあっさりと了承してくれた。これでケイティと話す時間が持てる。良かった。
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