表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
五角関係が世界を滅ぼす!? 恋愛経験ゼロの私、エセ占い師になって恋愛を正す!  作者: 桜皐ゆるり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/159

3話 宰相の孫ノクタリウス

「シルヴァレーン嬢、お加減はいかがですか?」

 女性よりはいくぶん低い声。男性であろう声の主は扉を開けて中に入ってくることはしない。思わぬ第三者の登場に私は平常心を取り戻した。誰だが知らないけど、ちょうどよかった。

「お気遣い痛み入ります。どうぞお入りになって」

 私が入る許可を出すと、ドアを開けて男性が一人入って来た。学生服からして、生徒の一人だということがわかる。漆黒の髪はあたしが見慣れているものよりも艶があって綺麗だ。メガネの奥の黒い瞳を眇めており、ケイティへの嫌悪感が滲み出ている。

 彼もまた重要人物のひとり――宰相の孫ノクタリウスだ。

 彼の残した書記をゲーム内で読んだ記憶がある。たしか侯爵令嬢アウレリア様の幼馴染でアウレリア様が好きだったはず。アウレリア様も彼を愛していたと記されていたけど、その真偽は定かではない。サブストーリーと若干の矛盾があるもの。他には、第一王子フィリップ殿下の思い人が平民だっていう嘆きが書かれていた。この話で出てくる平民はケイティしかいなかったはずだから、フリップ殿下がケイティを好きだった可能性がある。

「……君は平民だろう? シルヴァレーン伯爵令嬢に近すぎるのではないか?」

「あ、すみません……!」

「シルヴァレーン嬢の知人なのか?」

「いえ、倒れた時に傍に居たので心配になって様子を見に来たんです」

 ケイティは高圧的なノクタリウス様に負けずににこっと笑う。彼女の気にしてない雰囲気にノクタリウス様の方が面を食らって狼狽している。しかし、ノクタリウス様もスタンスは崩さないつもりらしく、さらにケイティに厳しく言葉を投げる。

「それであれば用事も終わったのだろう? 早く帰るべきでは?」

「ですが、この状態のシルヴァレーン様を残していくことはできません」

「僕が来た理由がわからないのか? シルヴァレーン嬢の迎えの者が来たから呼びに来たのだ」

「……! よかった!」

 ノクタリウス様が重ねた嫌みはまったくケイティには伝わらないようで、私の迎えが来て喜ぶ始末。強いわね、この子。

「と、とにかくわかったなら君は帰りたまえ」

「はい! シルヴァーン様もお大事になさってください!」

 ケイティは笑顔で私とノクタリウス様に頭を下げて、部屋を出て行ってしまった。ああ、貴重な情報源が……次の約束が取れてないのにっ。

「どうなさいましたか?」

「いえ、なんでもありませんわ」

 私は頭を振って応えた。

 ノクタリウス様の平民に対する反応はいたって普通のことだ。私も前世の記憶が戻ってなければケイティのことは無視していただろうし、無礼だと言い募ったかもしれない。ここは大人しく貴族の淑女として振舞っておいた方がいいだろう。

面白い、楽しい、と感じて頂けたら、

下の星マークから評価やブックマークをいただけますと、今後の活力になります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ