36話 お手紙を書きましょう
「ライオネルとはどう?」
「どう、とは……?」
話が終わってこのまま去ろうか考えているとアウレリア様からライオネル殿下について振られた。でも、何を応えればいいのかわからず、瞠目する。
「だって貴女がいない間、ずっと心配してたんですもの」
「え……」
手紙をくれるくらいには契約者として心配してるのはわかってたけど、人に分かるほど心配してたってこと? これは、演技とか? 仲良い風な感じが出したいとかそういう?
ライオネル殿下の行動もよくわからない。
「……いいえ、貴女たちは上手くいってほしいと思ったまでよ。これでは私の方がお節介ね」
アウレリア様から謝罪されてしまう。そういえば私ライオネル殿下に気があるみたいな話したんだった。気になるわよね。
ライオネル殿下がアウレリア様は面倒見がいいと言っていたし、お節介を焼いてもらえるのであればそうしてもらおうかしら。頼った方が信頼関係が結べるかもしれないし。ちょうどライオネル殿下について悩み事もあるしね。
「お節介だなんてそんな……嬉しいですわ。私、悩んでおりまして、よければ聞いてほしい事があるのですが……」
「あら、いくらでもお話なさって」
アウレリア様に向かいの席を勧められる。私は腰を降ろしてからおずおずと話始めた。
「あの……休んでる間にお手紙とお花をライオネル殿下からいただきまして。ですので、お礼をしたいと思うのですが、私こういう経験がなくてどうすればいいのか……」
「お手紙の返事はしたのかしら?」
「昨日までは伏せておりましたのでまだ……」
「であれば直接言うのも気恥ずかしいでしょうし、体調も考慮して今日は帰るといいわ。それでライオネルにお手紙を書きましょう」
アウレリア様は思いのほか楽しそうに表情を緩めている。手を合わせて提案をしてくる彼女に私は首を傾げた。
「しかし、今日帰ってしまうと余計に心配させてしまうのでは……?」
「それがいいのよ。焦らした方が燃え上がるものよ。手紙では控えめに、でも会いたい旨を匂わせるといいわ。花を添えるなら花言葉で伝えなさいね」
これは恋愛アドバイス……! 私が恋愛アドバイスされてどうするのかしら。逆の状況が望ましかったんだけど。でも、真剣に考えてくれるアウレリア様に、私はメモをしていく。どっかで役立つかもしれないしね。
ラルフさんが目を覚まして「お嬢、もういいですか?」と聞かれるまで、私は手紙の書き方についてアウレリア様にご指導いただいた。
結局アウレリア様の言うままに私は帰宅することになった。生徒会の面々にはアウレリア様から話してくれるそうだ。
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