26話 ライオネル困惑
さて、ライオネル殿下はどういう反応をするかしら。
ケイティは、フィリップ殿下が優しくて魔法を教えるのが上手いことや、アウレリア様が日頃どれだけ優しいかを話してくれる。完全に惚気なような話しぶりで、私は相槌を打つしかなかった。その後、小説の話に移行したら、私もついつい白熱してしまった。
しばらくして、カーテンが再び開いたので手を前に出してケイティを制止し、入って来た人物を見やる。赤い瞳が見えて、すぐにライオネル殿下だとわかる。
「ようこそ、ライオネル殿下」
ライオネル殿下は私たちのところへ来るも、ケイティがいることに戸惑いが隠せないようでちらちらと彼女を見てから私に視線を送ってくる。
「ケイティですわ」
ケイティは立ち上がって慣れないカーテシーをする。足がふらついてて危なっかしいほどだ。
「……相談していたのか?」
ケイティに座るように促してから、ライオネル殿下は私に聞いてくる。その表情はしかめ面で、不安がにじみ出ている。私同様、フィリップ殿下のことでも相談に来たのかと疑っているようだ。
「ええ、アウレリア様の恋路について相談を受けておりましたわ」
私が答えると、ライオネル殿下は目を瞬く。代わりにケイティが慌てたように私の口をふさごうとするものだから、笑ってしまった。
「ふふ、ケイティ大丈夫ですわ。ライオネル殿下は私たちと一緒です」
「ではライオネル殿下もアウレリア様のことを……!」
「待て、何の話だ?」
誤解があるようだが、ライオネル殿下が気にしてるのはフィリップ殿下の方だと思う。でも、私が説明する早く、ライオネル殿下が話を止めて来た。
私はライオネル殿下にケイティにも協力してもらうことになったこと、ケイティにライオネル殿下と契約をして恋愛事情を調べていることを説明した。
「相談もなく決めたのか?」
「あら、ライオネル殿下も私に相談なさらず決め事をするではありませんか。今朝のクラスのこととか」
「ぐっ……」
責め立てるように言われたので、嫌みを返せばライオネル殿下も黙った。いい気味だ。
「残念です……」
私の説明を聞いて、いままで神妙に考えていたケイティがこぼす。残念とはなんのことだろうか? 私はケイティを見て続きを促す。
「何が?」
「ライオネル殿下とシルヴァレーン様もお似合いだと思ってたんです。だって、凛々しいライオネル様が儚いシルヴァレーン様を支える構図ってとてもいいじゃないですか! 相反する二人の間に何があったか、絶対萌えると思います……!」
一気にしゃべるケイティに私よりもライオネル殿下が引き気味だ。私はさっきも見たしね。この子、恋愛小説に没頭するタイプで私と同士なのよ。できれば気軽に語り合いたいところ。でも、引いているライオネル殿下を置いていくことはできない。
「契約だから、何もないのよ」
私がケイティに釘を刺すと、はっとしてケイティは顔を赤くし身体を縮こませた。
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