25話 ケイティ仲間になる
ケイティが取り出して掲げている本は、ご令嬢たちの噂の的である本だった。内容は婚約者同士だったが、隣国の力によって引き裂かれ、最後には駆け落ちをする。というよくある話である。立場がアウレリア様とフィリップ殿下そのままみたいな設定なので、実はアウレリア様のことなのでは!? と噂になっている。アウレリア様も結ばれない恋みたいなこと言ってたし、あながち間違いじゃないのかもしれないのだけど。でも、あくまでこれは創作、フィクションなのよ。現実と混同してはいけない。
ケイティは言い終わってから主張しすぎたのを自覚したのか、曖昧な表情になっている。その表情にどこか既視感を覚えた。どこかで見覚えがある気がする。でもどこだったかはわからない。
私はこの創作がフィクションだということを伝えた。
「あのね、ケイティ。私もアウレリア様には幸せになってほしいわ。けど、アウレリア様が誰を好きか、本当のところはわからないじゃない?」
「……でもっ」
「隣国との婚約も、フィリップ殿下との婚約解消も理由があるかもしれないわ。でも、噂は噂なの。貴方はフィリップ殿下からアウレリア様が好きだと聞いたの?」
「……いいえ」
「じゃあアウレリア様からそう聞いたの?」
「……いいえ」
だとしたら、やっぱりフィリップ殿下とアウレリア様のことは噂の域を出ない。私の言葉にケイティはすっかり落ち込んでしまった。顔を俯かせて、肩を震わせている。
どうしよう、このまま部屋から返してもケイティとは仲良くなれないだろうし、もしかしたら五角関係がさらにひどく崩れるかもしれない。アウレリア様のことが好きなケイティとは協力関係にありたいところね。
ケイティにフィリップ殿下とアウレリア様について調べてると言おうか。その前にライオネル殿下に相談してからのがいいかしら……。でも、ダメと言われてもこれが最善だと思うし、話を進めてしまいたい。それに、ライオネル殿下も勝手に突っ走るんだし、私だって後から報告でもいいよね? よし、後で言い負かさそう。
私は決意して、ケイティに話しかける。
「私もわからないから、だからいろいろと調べたいと思うの」
私の言葉にケイティは顔を上げた。涙が頬を伝っている。じっと見る琥珀色の瞳を見返して、首を傾げた。
「ケイティは……どうしたい?」
「私も……! 一緒に調べさせてください!」
すぐさま答えが返ってくる。ケイティは決断も早いようだ。さっきの今で占いの館に来るのだから行動力もあるのだろう。そして無自覚だろうけど、表情の豊かさで人の心に入り込むのは、友好関係を築くうえでとても心強い。
「ええ。よろしくねケイティ」
「はい!」
にっこりと笑ったケイティの表情は雨が上がって虹がかかったようだった。
面白い、楽しい、と感じて頂けたら、
下の星マークから評価やブックマークをいただけますと、今後の活力になります!




