21話 ライオネルとはいつ出会ったの?
「ライオネルとはいつ出会ったの?」
アウレリア様の言葉に私は心臓が飛び出るかと思った。出会いといえば占いの館にいきなり来て協力を仰がれたんだけど、それをそのまま話すわけにはいかない。ライオネル殿下とそういうところの打ち合わせはしてないし、これ後でしっかり認識すり合わせておかないとボロが出ちゃう。
「えっと、占いの館に来てくださって。それからよくお話するようになったんです」
嘘で塗り固めると後々、別のこと言っちゃったりしそうだから、事実を交えて話す。まだ設定も練ってないから、あまり深く突っ込まれませんように。
「ライオネルは占いの力が欲しかったのかしら。それとも貴方が好きだったから婚約したのかしら?」
詰められてる。視線が痛い。明らかにライオネル殿下の婚約者に相応しいかどうか見定められている。アウレリア様はライオネル殿下のこと弟扱いしていると言ってたものね。心配よね。
どうしたものかしら。会って間もない婚約なのだから、お互いにメリットがある政略結婚に近いと思われてるっぽい。実際、契約で婚約者になったので合ってはいるのだけど。でも、ここでもし私が恋愛の話をすれば恋バナの話に持っていけるのでは? 漫画とかの修学旅行とかでよく見るヤツ。恋バナとは誰かが始めれば他の人の恋バナも出てくるもの。これを機にアウレリア様の好きな人がわかるかもしれない。
「ライオネル殿下のお気持ちは聞けておりませんが、私はお慕いしておりますの。聡明ですし、しっかりと周りを見ているというか……」
ちゃんと好きなポイントを入れるのは肝ね。後でアウレリア様は? って聞きやすくなるもの。でも、ちょっと言ってて恥ずかしくなる。羞恥心を隠すために顔を下に向けてしまった。
「ふふ、少し安心したわ。ライオネルを使って王女の座を狙おうとするようなお馬鹿さんもいたものだから」
頭に赤髪のジュリアナがすぐに浮かんだ。アウレリア様もジュリアナに手を焼いたのだろう。
「応援してるわね。ライオネルのことなら昔からの付き合いだからよく知っているわ。だから、私に相談してちょうだい」
「ありがとうございます、アウレリア様」
とりあえず、アウレリア様から及第点はもらえたようだ。よかった。微笑んでいる様子は美しさの中に、同い年特有のあどけなさが見える。私は、紅茶のカップを握りしめて心を決め、彼女の心に踏み込んだ。
「あのアウレリア様は好きな方、いらっしゃらないのですか?」
「……いるわよ」
アウレリア様は小さな声で答えた。そして窓の方を見てどこか遠くを見ながら独り言のようにつぶやく。
「結ばれることはないけど、とても……大事な人が」
それ以上、アウレリア様は話すことはなかった。すぐに、ライオネル殿下の幼少期の話や、フィリップ殿下の話に花が咲いた。
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