19話 生徒会の面子
アウレリア様が紅茶をライオネル殿下と私の前に出してくれる。向かい側にも一つ置き、そこに彼女は腰を下ろした。ゆっくりとライオネル殿下との会話の続きを始める。
「落ち着いてよかったわ。貴方もラルフもゆっくりと過ごすことができているみたいですもの」
「ああ……おかげで学院に通えることになったしな。アウレリアの婚約のおかげだ」
「ええ……」
アウレリア様とライオネル殿下は紅茶に口をつける。私も真似て口をつけた。花の香りは上品で、甘い。
アウレリア様の婚約について質問を口にしたかったけど、私は初対面。まだ突っ込んだ話をするには早すぎる。ライオネル殿下に任せるしかない。
ライオネル殿下は紅茶から口を話すと、目的の人物について尋ねた。
「兄上は?」
「フィルはさっきの女生徒の面倒を見るはずよ。だから、もう少し遅くなるかと。ノクスはそろそろ来ると思うわ――ほら」
アウレリア様が言い終わらないうちに扉がガラっという音を立てた。視線を向ければ黒髪で眼鏡をした宰相の孫ノクタリウス様が入って来た。黒い髪と一緒で瞳も黒く、切れ長なのが印象的だ。
ノクタリウス様はアウレリア様を一番に見て、そこから部屋を一瞥する。
「……アウレリア、ラルフは?」
「ライオネルたちが来たので、おでかけしてますわ」
私たちに挨拶するより先に、アウレリア様に近寄るノクタリウス様。彼の表情は眉尻が下がっていて心配そうだ。あからさまな態度だと思う。しかし、アウレリア様は慣れたようにさらっと返答する。いつも似たような感じなのかしら。
「そうか……ライオネル殿下なら問題ないですね。それでシルヴァレーン嬢を連れて何しに?」
ノクタリウス様がやっと私たちの方に視線を向けて、ひとり納得をする。彼の視線を受けて、ライオネル殿下が立ち上がったので、私も一緒に立ち上がる。
「俺の婚約者を紹介しに。後はミシェルも一緒に生徒会に入るので、挨拶をしに来たんだ」
ライオネル殿下の挨拶に倣って、私もノクタリウス様にお辞儀をする。お辞儀を返されて、席を勧められた。私たちが腰を下ろすと、ノクタリウス様はアウレリア様の隣へと腰かけた。
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