16話 自己紹介
「あら? 学院に来てたのね、ライオネル」
私を助け起こそうと屈んで手を取ってくれたライオネル殿下を見て、アウレリア様は表情を変えた。眉を上げて、観察するようにライオネル殿下を見ている。
ライオネル殿下は私の手を強引に引いて起こしてから、アウレリア様と向き直る。雑すぎるし、ちょっと手が痛いんだけど、あとで文句言おう。今は二人の会話に入るべきではないだろうし。
「久しぶりだな。今日から学院に通うことにした」
「ふーん……それでそちらは?」
「俺の婚約者だ」
アウレリア様の視線はいぶかしげだ。ライオネル殿下に背中を押されて一歩前に出る。私は一週間練習したカーテシーをしながら自己紹介をした。
「ミシェル・シルヴァレーンと申します」
一通り勉強はしたものの、引きこもって夜会とかに行っていない私はマナーや令嬢の仕草に慣れていない。だから、お母様から再び先生をつけられたのである。
「わたくしはアウレリア・ロセリウスですわ」
アウレリア様の見事なカーテシーは、学生服だというのにドレスのように美しく見えた。薄く微笑みを浮かべているが、私を品定めするような視線を感じる。
「シルヴァレーン嬢……辺境伯ね。お母様が有名な占い師だったかしら?」
やはり侯爵家。他の家のこともしっかりと把握しているのね。私も令嬢の微笑みを張り付けながら、自己紹介を口にする。
「はい、母が王族直属の占い師です。私も僭越ながら学院で占い師をさせていただいております。まだまだ修行の身ではありますが、何か困りごとがありましたらご相談ください」
「あら、頼もしいのね」
よし売り込みは上々ね。興味深そうな視線をアウレリア様から受ける。ケイティもばっと顔を上げて私を見たから、興味があったのかもしれない。いつでも相談に来ていいから!
面白い、楽しい、と感じて頂けたら、
下の星マークから評価やブックマークをいただけますと、今後の活力になります!




