153話 おかえりなさい
カイリス国に帰ってきて、最初に向かったのはフィリップ殿下のところだった。
「おかえり、レオ、シルヴァレーン嬢」
フリィップ殿下もところどころ擦り傷は見られたけど、お召し物はすでに変えたらしく普通の恰好だった。大きな怪我もなさそうで良かった。ほっとする。
「戻りました。作戦通り、隣国は交渉の場についてくるでしょう」
「良かった。後は私が引き受けよう」
「お願いします。また、魔王――黒龍は宿舎がほしいそうです」
二人の業務報告を聞いていると影が動いた。認識するよりも早く、衝撃が私を襲う。
「ミシェル様!! おかえりなさい!!」
大きな声に、衝撃で一歩下がる。ふわりと風で揺れる栗毛に、ケイティが私に抱き着いて来たのだとわかる。
「ケイティ! ケイティは大丈夫?」
ケイティもフリィップ殿下やライオネル殿下と一緒に、魔王討伐に赴いたのだ。顔に傷とかついてない? 大丈夫かしら? と、彼女の頬に触れて様々な角度から見る。
「だ、大丈夫ですっ。お二人が守ってくれましたから」
私の様子に慌てて袖を引っ張ってくる。たしかにかすり傷程度だった。
「良かった……」
三人の無事を目で確認出てきて、これほど安堵したことはない。目の前のケイティにぎゅっと抱き着く。本当に良かった。
「ミシェル様も大丈夫ですか?」
心配そうに私の背中をケイティが撫でる。そっか、心配かけたわよね。ライオネル殿下も、あの時私と同じようにほっとしてたもんね。
ケイティから離れると、安心させるように胸を張る。
「ええ、あの国は亡びるって予言してやったわ」
ケイティがいつもの調子で笑ってくれた。なんだかいつも通りで、つられて笑ってしまった。
「みんな無事で何よりだよ」
フィリップ殿下が手を叩いて、場を納める。目を細めて優しい笑顔を浮かべているので、微笑まし気に思っているのが見てわかる。ライオネル殿下が視界に入らなくて、そわっとする。軽く視線を巡らせると、いつの間にか私の横に立っていた。表情は微妙だ。怒ってるような、拗ねているような……?
そっと顔を覗き込んでみれば、ふいっと顔を逸らされた。
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