144話 口づけしてもいいか?
これから会う頻度が少なくなる。だから、今一緒に居てくれている。嬉しい。けど、やっぱり寂しさはある。レオが城にずっといるなら、私から会いに行ったらダメかしら?
でも、恥ずかしくて喉のところでつっかかり、すぐには言えない。
考え込んでいたら、ふと髪に手が触れた。
「髪飾り、つけてくれてるんだな」
びっくりした。デートで買ってもらった獅子の髪飾り、気が付いてくれたんだ。口元が緩くなりすぎそうで、きゅっと口を引き結ぶ。
「――っ、ええ、私の宝物ですから」
思わず本音が零れて、顔が熱くなる。言い切ってしまったので、どうもこうもない。開き直って、胸を逸らした。
レオは、表情が緩んで、愛おしそうなものでも見るように赤い瞳を煌めかせた。
「嬉しい」
素直な言葉と同時に、髪を持っている手が彼の口元に近づいた。リップ音が聞こえて、遅れて髪にキスされたのだ気づく。手さえどくどくと脈打っているほど、熱い。
「口づけしてもいいか?」
キャパオーバーだった。混乱する頭のまま、慌ててレオの口元を両手で覆った。
「ま、待って」
「ダメか?」
上目遣いでじっと見つめられて、ぐっと喉が詰まる。ここで、甘えるのは反則でしょ~!? 頭の中で叫んでも、混乱ぶりに声はでない。
別にイヤじゃない。イヤじゃないけど、心の準備ができてない。どんどん置いていかれている。
それに、した場合を考えると少し胸が締め付けられた。私は、繕えずにそのまま言う。
「うぅ……寂しくなりそうなのでイヤです」
思ったよりも小さい声になってしまった。自分の心臓の音の方が大きいくらい。伸ばしていた手を降ろすように、手を握られる。口を尖らせて、あからさまに拗ねた様子を見せるレオが見えた。
「……いつならいい?」
「全部、解決してから、がいいです」
わがままは承知の上だけど、だって、心の準備がいつできるかなんてわからないし。色恋に落ちていろいろ失敗するなんていうのも定番だし、ここは、すべて終わって気兼ねなくなってから考えさせてほしい。
心の中で言い訳を永遠と呟く。
「……わかった」
レオは否定せずにふっと笑うと私の頭を優しく撫でてくれた。ほっとする。
レオになら、もうひとつ甘えてもいいかしら。きっと大丈夫な気がする。このまま会えないのは寂しいから。
「あのもうひとついいですか……私、差し入れをレオにもってきてもいい、かしら?」
おずおずと見上げて、ゆっくりと紡ぐ。案に会いたいと告げると、レオは頭を撫でるのをやめて私をじっと見た。
「当たり前だ。俺もそうしてもらえるとすごくありがたい」
レオの表情が緩んで、心臓の音が少しゆっくりになった。安堵した。そして、嬉しいと手がじわっと温かくなる。
「なるべく頻度高く来ますね!」
「ああ、楽しみにしてる」
約束をして、心が落ち着いた私は、今日は帰ることにした。レオは馬車まで送ってくれた。
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