132話 全部、全部思いだした!
記憶の場所は庭園の一部。裏庭のような草木が整えられてる場所に二人で横並びに座っている。
「レオ、あたしレオみたいな、獅子の赤い目をした髪飾りがほしい」
隣に座ってる男の子に、あたしは口を尖らせながら言った。
すぐに別の場面で、男の子は少し大きくなっていた。場所は同じ庭園だ。
「レオは、あたしとデートしたいの? それならね、あたし、ここから行けないとこ行ってみたい! あれくれ者とかばったばったと倒したり、酒屋で飲んだくれてみたりしたい」
「ミラは令嬢には見えないね。でも、そういうとこ好き。荒くれ者は俺が倒すんだから!」
男の子は立ち上がって、パンチしたりキックをしたりして、倒すんだと張り切っている。あたしも負けずに立ち上がった。
「あたしには無理だっていうの!?」
「じゃあ、一緒に倒す?」
その一言で嬉しくなって、私も男の子もにこにこと笑顔になる。
「それいいね。デートはあたしがプラン立ててあげる。その次はレオよ?」
「うん。とびっきり面白いプラン考えてやるよ!」
「あたしもよ!」
場面は変わる。目の前にさらに大きくなった男の子。煌びやかなパーティは窓の中。子供用のオシャレな服を着て、二人で中庭に立っている。
窓とは反対の方で噴水の音が聞こえる。男の子がこちらを向く。金髪に赤い目、ライオネル殿下の面影がはっきりとわかる。真剣な表情であたしを見ている。
「ミラ、俺の婚約者になって――」
その言葉を聞き終わらないうちに私を横から衝撃が襲った。
「貴女なんか第二王子にふさわしくないわ!!」
甲高い叫び声と赤い髪が視界に入るも、私は押された勢いのまま噴水に落っこちた。頭を強く打った。
腕を引っ張られて、引っ張ってくれた彼を見て、私は「誰?」と口にする。
全部、全部思いだした!
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