124話 謝罪としてデートしてくださいっ
でも、まだ話は終わりにしない。
「……目の前で、親しい人が刺されるのは私もイヤです」
少し出てしまった涙を拭った。目が覚めてよかった。後遺症もなくてよかった。下手したら、彼は下半身が動かなくなる可能性があるのに。私なんかを庇ってほしくなかった。その気持ちがにじみ出てしまった。
「悪かった」
ライオネル殿下が申し訳なさそうに謝るので、ここだと思った。どこかで言わなきゃいけないし、いつまでも後回しにはできない。ぎゅっとスカートを掴んで決意を固める。
「じゃ、じゃあ……謝罪としてデートしてくださいっ」
どもってしまった。
ライオネル殿下は目を瞬かせてどう見ても動揺している。やっぱり言うんじゃなかったという焦りから、口が開いていた。
「ほら、アウレリア様がラルフさんとデートするから、私におススメのデートスポットをお願いって言われたんですよ。だから、協力者として付き合ってほしいと思いましてっ!」
早口で捲し立ててしまい、顔があげられない。こんな様ではアウレリア様に笑われてしまう。
「わかった。日取りを確保しよう。アウレリアとの仲が進展してるようで何よりだ」
「はい」
普段と変わらない声色にほっとして顔を上げた。ちょっと笑っていて、一瞬戸惑ったけど普段も笑ってることのが多いように思えて、心臓がどきどきして嬉しくなってしまった。浮かれてしまいそうで、特別なことではないと自分に言い聞かせる。
その後、フリィップ殿下ともう一度いままでのおさらいをするべくフリィップ殿下の執務室へと私たちは移動した。
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