114話 疑惑のジュリアナ
フィリップ殿下の元に影が三つ。アウレリア様とケイティ、そして護衛のラルフさんだ。
「フィル! ライオネルは!?」
アウレリア様が勢いよく、フィリップ殿下の腕を掴んだ。表情は必死で、取り乱しつつも心配しているのがよくわかる。
「アウレリア、落ち着いて。レオは寝ているから会うことはできない」
「そんなライオネル殿下……」
フィリップ殿下の説明にケイティも表情を曇らす。
「今はシルヴァレーン嬢が看病しているから大丈夫だ」
「ミシェル様が一番おつらいですよね……」
アウレリア様とケイティの嘆く姿にぐらぐらと決心が揺れる。
「うぅ……まだネタバラシしちゃだめですか?」
「俺たちは怪しいヤツを捕まえるんだろう? それまではバラさない方がいい」
「ぐぅ……」
あまりに悲しくて変な声が出た。それまでみんなを欺き、なおかつ悲しむ様子を見なきゃいけないのだ。悲しいし、罪悪感が半端ない。誰よ、こんな計画立てたの! 私なんだけど!
「早く終わらせたいなら俺の毒殺を考えていたヤツを捕まえるんだな。メイドとして動いてる最中、怪しいヤツはいたのか?」
メイドとして数日動いていたので、いくつか目撃したことはある。怪しまれないようにライオネル殿下と連絡はとってなかったので、気になるのだろう。
「そうですね……一番気になったのは、ジュリアナ様が厨房にいるのを見たことでしょうか」
何故か、謹慎中の彼女が王城に入り込んでいた。謹慎中だからこそ親に連れられて、謁見を請うていたのかもしれない。と思ったものの、じゃあなんで厨房に? という疑問が残る。仮に彼女が犯人なら楽だ。
でも……。
「俺が狙われるのは合わなくないか?」
「そうなんですよ。だから、おかしいな。って思ったんですけど、フィリップ殿下の寝室に運ぶお茶について詳しく聞いていて、ご令嬢に逆らえなくて使用人が困ってました」
ジュリアナ様はライオネル殿下派なのよね。私が婚約者の座に収まってる現状、恨みという線もなくもない。生誕祭の出来事を考えれば、相当濃い。でも、あれだけライオネル殿下に執着していたのだから、どちらかというと私の方を狙ってくると思うんだよね。
もしくは……
「もしかしてフィリップ殿下の方を狙ってるとか」
「婚約者の座に収まってもいないのにか?」
それもそう。ジュリアナ様とライオネル殿下の婚約が成立してればワンチャン可能性はあるんだけど、今フィリップ殿下を亡き者にしても仕方がないのだ。
「じゃあ、やっぱり違うんですかね」
「いや、そもそも何故そこにいたのかは洗う必要があるな」
やっぱり何か違うのよね。国を崩壊させる原因を作った重要な人物がジュリアナ様だったら、もっとシナリオに登場してもおかしくない。ライオネル殿下のエピソードがそんなにないから?
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