108話 ミシェルを綺麗に
「そうねー……」
いくらジュリアナ様がいないからと言って、令嬢が傷や痕を表に出すのは避けるべきだとわかっている。
「あら、でしたらわたくし良い白粉を持っているわ」
アウレリア様が意気揚々と化粧道具から箱を取り出した。開けると肌色をしている白粉が入っていた。
「わたくしもふとももに傷があるのよ。それを隠すのに使ってるの。ですから、ミシェルのその痣も綺麗に隠せると思うわ」
「アウレリア様のお墨付きならばっちりですね!」
髪の毛はケイティ。痣についてはアウレリア様が化粧を施してくれて、私はただじっとするしかない。けど、むずむずする。
「出来たわ」
「わぁ、ミシェル様似合ってます!」
アウレリア様が満足げに鏡を手渡してくる。覗けば、いつもと違う血色の良い私が映し出されている。ふわっと結わかれた髪が引き立てるように髪飾りが赤く輝いている。痣も綺麗になくなっているし、血色のよくなった私は、赤い髪飾りに負けておらずでたしかに似合っていた。綺麗だとも可愛いとも思う。
「二人とも、ありがとうございます……」
鏡の中の私がふわっと笑った。むずがゆくて恥ずかしかったけど、友達に綺麗にしてもらえるのは嬉しかった。
「次はアウレリア様の髪をやらせてください!」
ケイティが張り切っている。せっかくだから、私はやりたいことを口にする。
「私、みなさんと色違いをつけてみたいわ……」
「いいわね! ピンクパール色の貝殻にしようかしら。ケイティはパールの貝殻にしましょう」
「はい!」
私の案に二人とも笑顔で快諾してくれる。ほっとして、胸元が温かくなった。
ピンクパールの貝殻に着いているのは緑色の石と紐、パールは青色の石と紐でちょっと笑ってしまった。
アウレリア様の髪はケイティによって私とお揃いに編まれ、ケイティの髪は私がケイティに教えてもらいながら編んだ。
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