103話 デバガメ作戦パート二
時間は放課後、場所は教室。昨日の打ち合わせの通り、ライオネル殿下と使われていない倉庫代わりの教室に来ている。
こういうところは人の出入りが少ない分、何かが起きやすいので今回の場所に抜擢した。
「前回の尾行はまったく役に立ちませんでした」
「ラルフが怖かった以外に感想はない」
前回の反省をすると、ライオネル殿下も頷きながら感想を零した。怖かったのか。たしかにたじろいでたもんね。
ただ、話を長引かせると誰かと鉢合わせする可能性も高いので、今日はどんどん話を進めて行くことにする。
「収穫があるまでリベンジするというお話でしたね。今回はまた覗き見――いえ、デバガメをします!」
題して、デバガメ作戦パート二。パート一ではケイティとフリィップ殿下の告白シーンに遭遇した。二度同じパートナーでの遭遇率は低い。つまり、順当な場所に隠れていれば、きっと今度は別の恋愛シーンが見れるはず。
私は意気揚々と教室の用具入れを指さした。
「ここに入ります。そうすれば何か大事なイベントが起こるはず!」
「…………」
ライオネル殿下から疑わし気な視線を感じる。掃除用具に入るヤツなんかいねえだろと言われればその通りだけど。でも、なぜかデバガメ、もとい目撃者が掃除用具に入っている漫画は数知れず。そういうものだと思っていただきたい。
「いいんです、私がひとりでやりますから。狭いですし」
だいたいこんな狭い中にライオネル殿下と一緒に入るわけがない。いや、なんでかこの掃除用具、前世と違って広いから入ろうと思えば二人入れそうだけど? お約束かもしれないけど? 私は別に彼と良い雰囲気になるつもりはないので、ご遠慮願いたい。
なので人が来る前にライオネル殿下にはご退場いただきたい限りである。
「では、ライオネル殿下、後ほ――」
早く外に出るように促そうとしたら腕を掴まれた。パタンという音とともに前が暗くなった。ふんわりとした甘いいい匂いがする、どこか懐かしい。これどこかで嗅いだような……。
私にもわかるくらい足音が近づいて来てはっとする。どうやらライオネル殿下の方が先に気が付いて、私と掃除用具に隠れたようだ。上が少し明るくて、背伸びしてみれば教室内を見ることができた。
すぐに二人組が来て教室に鍵をかける音がした。ビンゴだ。きっと重要な何かが聞けるはず。問題はライオネル殿下まで一緒に隠れたことなんだけど……。
「どうしてライオネル殿下まで隠れるんですかっ!」
小声で抗議する。顔をあげれば間近にライオネル殿下の顔が見えたので、ぐっと喉が詰まる。わかってはいたけど、近い。意識すると体温さえ感じられて心臓がどきどきする。
「見つかったらイベントってヤツが発生しないんじゃないか?」
「だからって、狭い中にわざわざ隠れなくても、教室を出れば良かったじゃないですかっ!」
「さっきのタイミングで教室を出たら見つかるだろ」
ライオネル殿下も小声で話すから、耳がくすぐったい。ああいえばこういわれ、どうせもう出ていけるタイミングはないので、「大人しくしててくださいね」と釘だけ刺す。眼前に集中するのよ、私。
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