99話 なんなのよ、このノリ
「アウレリア様は素晴らしい女性です!」
「そうそう、ケイティちゃんはよくわかってるよね~!」
ケイティは相変わらず、ラルフさんの意図などお構いなしにアウレリア様が立派な大人だと主張する。ラルフさんもそれにはにこにこで返して、陽気に声をあげている。ケイティにアウレリア様のこと言われると、負けてられないと思ってしまうのよね。
「心配してるのもアウレリア様らしいわ。あの方、優しいもの」
「ミラちゃんは一二〇点満点です!」
私も負け地と感想を言えば、ラルフさんが嬉しそうに大声で評価してくる。大人のくせに、おちゃらけがすぎるわね、この人。ジト目でラルフさんを見てみるも、にこっと笑顔を返されただけだった。
「ノクタリウスも、突然アウレリアの騎士になったお前のことを嫌ってるしな。どうしていきなり出て来たヤツがって、怒ってるのを何度か聞いた」
ノリにはついてこないものの、ライオネル殿下は納得したように頷く。それからどこか遠い目をしている。ノクタリウス様、わりと厄介だったりする? いや、日誌の内容を考えれば、イメージはまったくその通りなので、本質がそうなのかもしれない。
「いやあ、嫌ってるヤツに応援されるってイヤでしょ?」
「やっぱりお前、嫌みでやってたのか」
ラルフさんもライオネル殿下には普通に吐露する。ライオネル殿下が冷めた目でラルフさんを見るも、目をそらして口笛を吹き、さらに嫌みを連ねる。
「いやあ、がんばりたいだけがんばればいいと思いますよ。どうせ叶わない恋じゃないっすか」
「隣国に輿入れするのは決まっているから、それはそうだが……」
たしかにどう頑張っても報われないのよね。ゲームでもだけど。ちょっと可哀想な人なのよね。
ここでちょっと話題が重かったのか、ケイティがラルフさんに話しかけた。
「ラルフさんから見たアウレリア様ってどんな感じなんですか? 一番近くで見守ってきたんですよね?」
「うん? お嬢は気が強くて負けず嫌いだけど、とっても優しいよ」
「わかります! 気丈な立ち振る舞いがかっこよくて、でも、いろいろ教えてくださる優しいアウレリア様って美しいですよね!」
「ケイティちゃん、わかってるぅ!」
だから、さっきからなんなのよ、このノリ。
面白い、楽しい、と感じて頂けたら、
下の星マークから評価やブックマークをいただけますと、今後の活力になります!




