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異変の兆し
レオンはダンジョンの壁をじっと見つめていた。
そこにモンスターがいるわけでも、宝箱があるわけでもない。ただの岩の壁だ。
だが、彼には“違和感”があった。
(この壁だけ、湿気の具合が違う……)
彼はそっと手を伸ばし、壁の表面を撫でた。指先に感じるわずかな凹凸。
そして、その奥から感じるかすかな空気の流れ。
「……ここには何かがある」
他の冒険者たちは財宝や経験値を求めてモンスターと戦っている。
しかし、レオンの目標は違った。
彼はダンジョンそのものを攻略する道を選んだのだ。