表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/47

第35話「暁の剣、夜を裂いて」

ヴェルサイユ・審問の間。

審問は一時中断……のはずだった。


だが、沈黙の中、サン=ジュストが声を張り上げた。


「再検証など無意味だ! 王妃の存在が国家を脅かしている事実に変わりはない!」


侯爵派の側近が動く。

何人かの衛兵が、不自然な動きで審問官の後ろへ回った。


「審問官殿、ここで“王妃に死刑判決”を下せば、革命派の混乱を抑えられます。王宮の威信も守られる」


……審問を強行しようとしている!


マリーが静かに睨みつけたその時、背後の扉が激しく開いた。


「ここは“断罪の場”ではない!」


シャレットの声が轟く。三銃士、再び現る。


ピシグリューは衛兵を押しのけると、手にした書簡を審問官に叩きつけた。


「この場を“クーデター”に変える気か? 王妃を殺して、次は国王、いや共和国そのものを乗っ取る気か!」


ド・モードが剣を抜いた。

「王妃の罪を問う前に、問われるべきは貴様らの陰謀だ!」


騒然となる廷内。

だが次の瞬間、別の扉が音もなく開き、闇を纏うようにサンジェルマン伯爵が現れた。


「剣を納めなさい。ここはまだ、理が裁かれる場だ」


彼は審問官の前に進み出ると、小さな革袋を差し出した。


「侯爵派の密会を記録した音声装置の記録だ。……録音された“声”は、王妃を冤罪に貶めようとする“具体的な計画”を証明している」


審問官は目を見開き、録音装置を受け取る。


「……これが真実なら、この審問はすでに“反逆者たち”によって乗っ取られていたことになる」


沈黙。

次の瞬間、審問官が声を上げた。


「この場において、王妃に対する断罪は認められない。陰謀の証拠をもとに、侯爵派の拘束を命じる!」


衛兵たちが動き出す。サン=ジュストが叫ぶ。


「騙されるな! すべては王妃の策だ!」


だがすでに流れは決まっていた。

その声は誰にも届かない。


マリーは静かに目を伏せ、サンジェルマンに囁く。


「……ありがとう。でもこれは、まだ終わりじゃない」


彼は微笑み、答えた。


「ええ、“始まり”に過ぎません。真のあなたが目覚める時、その名はやがて語られるでしょう」


その言葉に、マリーの瞳がわずかに揺れた。


……夜が裂け、真実の夜明けが近づいていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ