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第13話:密約の影

ロベスピエールの影響力が増す中、パリの空気は日ごとに張り詰めていった。彼を支持する急進派は、革命の名のもとに反対者を次々と排除し、粛清の嵐が吹き荒れていた。


リュシアンたちもまた、ベルナールの指示のもとで動き続けていた。ジャン=ポールは穏健派の議員たちと交渉し、革命の暴走を食い止めるべく同盟を模索していたが、状況は厳しかった。


「今日だけで何人が処刑された?」


隠れ家でリュシアンがジャン=ポールに尋ねる。


「正確な数は分からんが、50人以上が断頭台に送られたと聞いた。その中には、元ジャコバン派の議員も含まれていた。」


「同志すら粛清し始めたか……。」


リュシアンは拳を握る。恐怖政治が加速する歴史は知っていたが、その現場にいることの凄絶さは想像以上だった。


ベルナールが静かに言う。


「これは、ただの革命ではない。恐怖による支配だ。」


リュシアンは深くうなずいた。そして、一つの情報を口にする。


「ロベスピエールは、密かに王党派の一部と接触している可能性がある。」


「……何?」ベルナールの目が鋭くなる。


「まだ確証はない。ただ、革命を完全に掌握するために、表向きの敵とも取引をしている可能性がある。もしそれが事実なら、奴の立場を揺るがす証拠になるはずだ。」


「問題は、その証拠をどうやって手に入れるかだな。」ジャン=ポールが腕を組む。「そんな情報を知っているのは、ごく限られた人物だけだろう。」


「それなら、俺が直接調べる。」リュシアンは決意を込めて言った。「ロベスピエールの側近に近づけば、何か手がかりを掴めるかもしれない。」


ベルナールはしばらく考えた後、深く息を吐いた。


「無茶はするなよ……だが、もし成功すれば大きな一手になる。」


パリの街、深夜


リュシアンは夜のパリを一人歩いていた。革命の混乱の中、暗闇に紛れて動く者は多い。彼もまた、気配を消しながら路地を進んでいた。


ロベスピエールが王党派と接触しているのなら、その中継役がいるはずだ。その人物を突き止めれば、証拠を得る糸口が見つかるかもしれない。


その時——


「おい、そこのお前。」


突然、背後から声がかかった。


リュシアンが振り向くと、数人の男たちが彼を囲んでいた。全員が革命派の腕章をつけている。


「お前、何者だ?」


「……ただの市民だよ。」リュシアンは冷静を装う。


「ベルナールの仲間だな?」


鋭い言葉が飛んできた。リュシアンは内心で警戒を強める。


「何のことだか分からないな。」


「しらばっくれるな!」男の一人が短剣を抜く。「お前ら穏健派の連中が何を企んでるか、俺たちは知ってるんだ。」


「くそ……」


リュシアンは背後の逃げ道を確認した。これはただの尋問ではない。口封じに殺される可能性が高い。


その時——


「そいつを放せ。」


低く響く声とともに、一人の影が現れた。


男たちは動きを止め、声の主を振り返る。


リュシアンも目を向け、息をのんだ。


「お前は……!」

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