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5話
翌朝、神崎は気だるげに目を覚ます。
横を確認すると裸で眠る大内を見て
昨日のことが夢じゃないことを理解する。
神崎は重い体を引きずり、大内を起こさないようにお風呂場に向かい
昨日の情事の痕を洗い流す。
だが体にはしっかり残されているキスマークの痕。
「ヤバイよ。あんなセックスされたら、もう女性を抱けないよ」
最初は合意のない無理矢理の行為だったのに、あまりの気持ちよさに
自分から何度も求めた、あまりにも鮮明に思い出される行為に
神崎は頭を抱える。
『お前には才能がある』
と情事の時に言われた大内の言葉がよぎる。
「そんな才能知りたくなかったよ敬也さん」
神崎は体を強く抱きしめる。
この体をあなたが抱いてくれたことはすごく嬉しい。
だけど、あれはお酒の勢いだ。
気持ちがある訳じゃない。
それなのに……
貴方の心が欲しい、もっと貴方が欲しいと求めてしまう。
神崎は零れ落ちる涙を隠すようにシャワーを浴び続けた。