第四十話【リドルカ:なぜ】
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なぜ、空で人に会うのか。
魔術ではない。神術か?
こんなところで会うからには、良からぬモノだ。捕らえよう。
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逃げられた?
魔に当てられて、落ちることもなかった。
何者か
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騎士に引き立てられている。なぜだ?
俺の手からは、たやすく逃げたのに。
カトリーネにアレについて話すか。
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「驚いたわ。あの子は何者なの? なぎ払われた騎士が壁にめり込んでいたわ」
楽しそうだな、カトリーネ。
結局、何者かはわからないのか。
「パレアーナが迎えの準備をするために向こうの海港にいるはずよ。伝書鳥で連絡して呼び寄せましょう」
なぜだ?
「もしかしたら本物の神族の末裔かもしれないわ。これまでその存在が知られなかったんですもの、よほどうまく属性を隠しているのね。捕えて連れ帰れば、帝国の役に立ってくれるかも……」
そうか。
やはり捕らえるべきか。
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「この子何者? 私のところの隠密兵よりすごい動きだったわよ。カトリーネお姉様の指示通り、睡眠効果の魔草入りの水、用意しておいてよかったわ」
だろうな。
空での動きを思えば、ただの術士ではない。
「お兄様の部屋に入れておいていい? 結界は複合術の方がいいわね。私もずいぶん術が上達したのよ」
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すぐに逃げ出すかと用心していたのに、逃げないのか。
なぜ、妹の話をする?
……弟も、いるのか
随分、黒の離宮に行っていない。
故郷の家を、出られなかった、か──
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甲板に出してやったら礼を言われた。
なぜだ。
脅しはしたが、逃げなかった。
わからん。
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狙いは兄上の首だったか。
狡猾な。
この力はなんだ?
俺と戦うことも辞さないという。その目は──……
胸に、何かが突き刺さったようだ
何が起こった?
殺すべきだ。
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殺せなかった。
この身から溢れる魔力を浴びて、なぜ……魔に落ちぬ?
触れても、魔に落ちぬ者
名は、なんと言ったか
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なぜ、こうまで触れていたいと思うのか──……
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なんの躊躇いもなく、姉上の子を抱き上げた。
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器用な術の使い方をする
殺すのでなく、消してしまうのでなく、守るためであったとしても
雨を、降らせる……こんなことができるのか
熱?
熱いな。そんなに脆いのか?
なぜだ
魔には抗えるのに
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死んでしまっては、困る。
消えてしまっては、ならぬ。
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失うわけには、いかない。
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煩わしいものの、なんと多いことか
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「待っていろ。すぐに戻る」




