第二十二話【テレシー:魔法陣の賢者】
タケユキさんが、連れて行かれちゃう……
どうしてこんなことになっちゃったの?
やっと、二人でお出かけできたのに。
ミリネラ様に勧められて、トルグ様にもオーリー先生にも応援してもらって。楽しい一日になるはずだったのに……
背の高い、青いマントの人がタケユキさんを抱えて歩いていく。追いかけたいのに頭がクラクラして立ち上がれない。
「ちょっと待って、お兄様! もうっ、あなた、この子を港の保安所に連れてって! 一般人のふりをするのよ!」
「はっ‼」
フードの女の子が別のフードの一人に指示を出してる。
この子は誰? 本当にタケユキさんを迎えに来た人?
──ソンナワケ…ナカロウ
あの子があの人を追っていく。他のフードの人も走っていく。その先にあるのは──船!?
──トラレテ、タマルカ…アレハ、ワガ……
「やれやれ。おい娘、寝てるな? まあいいか。我々は先代のような愚は犯さん」
ちょっと! 触らないで‼
──シン…ク……ジン、カゼ……
「わっ!? ──ぐえ」
あれ? 近づいてきたフードの人が吹っ飛んじゃった。
私、何したの?
ああっ タケユキさんが船に!
──動キヅライ……お前は少し引っ込んでろ!
え!?
「……神属性魔法陣、風を成せ!」
いつの間にか右手がポケットの神石を取り出して握り込んでいる。そして人差し指で光る絵を描く。これって、ミリネラ様が研究してた魔法陣!?
「魔属性魔法陣、火を──くそう、弱い!」
今度は左手に魔石!?
何が起こっているの!?
「主導権を全部寄越せ! 船を止められんだろうが‼」
私の口で喋ってるのに私じゃない!?
「ええい、大人しくしてろ! 我が妻が連れ去られてしまう!」
ああっ、船が出てしまってる!
お願い! 止めて‼
──って、妻!?
「よし! 魔属性魔法陣、火を成せ! 風よ、火よ、船を止めよ‼」
二つの魔法陣が空で重なり、ボッと燃え上がった火が風を纏わせ飛んだ。そして、船のマストに──
キャーーーーーっ‼
タケユキさんが乗っている船に火をつけるなんて、なんて事するのバカバカバカぁぁぁぁ!
「はっ!? 私……」
さっきまで頭に響いたり勝手に喋っていた何かが黙った。けど、それどころじゃないわ! 船が燃えてる!
タケユキさん‼
タケユ…………
くらりと頭がくらんだのが、その時の最後の記憶です。
倒れて頭を打った気がします。
それでも覚めないほどの眠気が回りに回って──私は眠ってしまったようです。




