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ぼくらの森  作者: ivi
第二章 ―目覚め―
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第42話 セロとリスト

 竜舎の入り口から続く、まっすぐな広い通路。薄暗い十字路を一つ過ぎて、二つ目の角を左に曲がる。


 セロがいる場所は限られているから、見つけるのは難しくない。


 塵一つなくなった、細い通路の手前側。タークはディノの房の前に座っているセロを見つけた。彼は両腕で抱えた膝に顔を埋めて、うずくまっている。


 「やっぱり、ここにいたんですね」


 息を切らして駆け寄るタークの声に、セロはゆっくりと顔を上げた。後輩の前では平静を装おうとしているのか、彼は普段と同じ表情を貼り付けていた。


 だが、唇は悲しそうに歪んでいる。


 「タークか……どうしたんだ。僕はあとで戻るから……先に帰ってくれ」


 すっかり元気をなくしてしまったセロを前にして、タークは胸を手で押さえた。彼の目には、セロが仲間の不幸を悲しんでいるだけでなく、自分自身を責めているようにも見えた。


 いたたまれなくなったタークは、握りしめていたリストを急いで差し出した。


 「セロさん、見てください!」


 目の前に広げられたシワクチャの紙を見て、セロは訝しげに眉をしかめるだけだ。


 理解できていない様子の先輩に、タークはあの名前を指さした。


 『もし……この名前が、ケリーさんのものじゃなかったら。』


 決心したはずの心が、不安で揺らぎそうになったそのとき。


 「……っ!」


 セロの目がはっと見開かれ、青い瞳が紙の一点を凝視する。無言で固まる彼に、タークは説明した。


 「これ……帰還した人たちのリストです。さっき、騎士さんから預かりました」


 タークは小さく深呼吸をして息を整えるが、緊張に早まる胸の鼓動は、少しも落ち着いてくれなかった。


 「ケリー・トナーズさん。この人……あの、ケリーさんですか……?」


 セロは何も言わずに顔を背けた。


 青い瞳からはポロポロと雫がこぼれ落ち、頬を伝っていく。


 重すぎる沈黙に、タークは泣き出しそうになった。


 『まさか、そんな……違ったなんて。』


 謝らないと……何か言葉をかけないと。そう思っているのに、声が喉に引っかかって出てこない。


 立ち尽くすタークの前で、セロは静かに涙を拭う。深呼吸か、それともため息か。彼は震える息を吐き出した。


 「ケリー……」


 セロの言葉がタークの胸に突きささる。


 膝から崩れ落ちそうになるのを、タークは歯を食いしばって耐えた。

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