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最も残酷で最も温かな愛 短編集  作者: 春風 咲来
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純白の天使 アモル編(未来)

ウェル亡き今、次の王権を握るものがいなくなった世界は、徐々に秩序を失っていた。

貴方は神の子に違いないと、母から昔、それしか言葉を知らないのかと思うほど、言われ続けた。

その時は何もわからなかったが、この世界が崩壊してしまったら、神は僕達を救うだろうか?

王を除くと、政権を握り、この崩壊を止められるのは世界を救った英雄になるもの、人々を導く善良な指揮者だ。

それは、ウェルやイクェスから教わった事。

だから、僕はやらなきゃいけない。


ウェルに直接そう頼まれた事はないが、旅の合間、ウェルは僕に生きていく知識を始め、政治のことや国の歴史など様々な事を教えてくれた。幸い僕は、読み書きや基本的な知識は学んでいたため、苦労する事なくその教えを享受することができた。

きっとそれは、振り返って考えると自分に何かあった時のための保険だったのだろう。


だから、僕は絶対に死ぬわけにはいかないんだ!

そうしてまた、僕はゾンビと向き合い、一撃で仕留める。

イクェスから教わった銃の腕前もさらに上達していた。

アモルの身軽さも相まって、攻撃をかわす様子もまるで空を舞う天使のように美しかった。


その様子を見ていた人々は、アモルに見惚れ、アモルの評判は徐々に広まっていった。

まるで神を崇めるように…


生まれた時から、アモルの容姿は天使のように美しかった。

ウェルとイクェスと出会った事で、その聡明な瞳も、愛を知った心も、その高潔な雰囲気や浮世離れした美しさに磨きをかけ、虹色の輝きを放つように人々を魅了した。


「ゾンビからも、人々の不安や欲望が巻き起こす混沌からも、この世界を守り、救ってみせる!だから…」

安心して眠って、天国で見守っていて。

ウェルとイクェスのお墓の前で誓い、祈る、その心に迷いはない。

二度と会えない切なさの中のその時間が、アモルに安らぎと勇気を与える。

優しい風が、アモルの髪を撫でる。

神の存在はわからないが、2人が僕を守ってくれている、それだけは信じたいと思った。

それだけで僕は強くなれる気がしたから。


だから僕も、ウェルやイクェスが守ろうとした人々の心や幸せを守るために平和を取り戻し、2人が目指したより良い世界を創造するため革命を起こすための引き金となろう。

この覚悟が、いつか揺らぐことや僕を苦しめることがあるかもしれない、けれどその時は、この世で2人が繋いでくれたたくさんの人々との絆、僕を正し、助けてくれる存在があるから。

君たちの願いが、僕を奮い立たせる。


ウェルとイクェス共に過ごした幸福な時間、交わした言葉、感じた愛を胸に、僕はまた、歩き出すんだ。

ウェルとイクェスのお墓に花を手向け、追い風に乗って振り返らず走り出した。





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