クソガキ絵師VTuberと逆凸娘VTuber
【通常TwitterのDM】
鳩
《てと様、絵が神すぎるんだよ٩(๑`^´๑)۶。てと様みたいな神絵師なんかもっと配信頻度落としても誰も気にとめねぇよ。これからも俺達に観られながらしっかり(健康に)働くんだな》本心(休んでください。体調が心配です(´・ω・`))
たちつてと
《配信観るならスパチャくれ》
【炎上時YouTubeのコメント欄】
過激派ロールファン
《てとつまんな。ファンやめるわ》
たちつてと
《そもそも俺は絵師です。てか、つまんないなら観なきゃ良いんじゃねw。ねぇ、知ってるー?観るだけで、広告収入ってのが俺に入るんだぜw》
『…では、次はあの人に掛けようかな?』
一人のVTuberがDiscordと言うアプリでアポ無しで通話を掛けていく、逆凸配信をしていた。少しの間が開き、声が聴こえる。
「…もしもし~」
『もしもし~!!ママ今大丈夫?今配信中なんだけど、声入れていい?』
「ふえ、ぼくは今起きたとこ」
:てとママ!?
:ガチ寝起きw
:昨日遅くまで絵を描いてたからなぁ
:↑遅くまで(9時半)
:地声可愛い
:一人称ぼく助かる
『ママ、今、逆凸してるんだけどさー』
「にゃくとちゅ?」
『トークデッキ消費してくね。まず、「私を初めて知ったときの印象」!』
「金づる」
『へ、へぇ、そ、そうだったんだ…。次、「最近の趣味」!』
「札を一枚一枚数えてニヤニヤすること」
『.......』
「はとのみんな~、スパチャありがと~。たまにだったら、鳩の餌分ぐらいだったら還元してやらんこともない」
:ツンデレてとママ
:娘の配信でツンデレするママの恥
『さ、最後に「下着の色」を訊いても?』
「黒。じゃ、顔洗ってくるー。ばいばぁい」
その日、ぼくは思い出した。地声・一人称を出してしまった事実を…。身バレという名の危機を…。
ぼくの通う普通高校はバイトが禁止らしい。ぼくは予め申請している。中学の頃からイラスト事業は始めており、もしかしたらメディアに出てしまうんじゃないかと思ったからだ。幼い頃の自分の期待を余所に今まで覆面イラストレーターでやってきているが、VTuberレビューをし、声も出すようになった。身バレの危険も0ではない。教師に見付かって三年間分の金が稼げなかったら大問題だ。「バイトではなく仕事だ」と説得し、「この仕事で食べていけるくらい儲かっている」という旨を説明した。
「回想終了。ふわ~あ」
先生が何か数式を説明しているが、ぼくは気にせず、プリントに落書きをする。最近、流行ってるらしい漫画のキャラの一枚絵だ。ぼくは漫画を描くのは向いていない。やはり、どうしても小説の挿し絵などとは異なるのだ。絵を描き終え、時計を見るとあと5分あった。因みにぼくのテストの点数は上の下。提出物の状況は最悪。平均して中間といった成績だ。
「おねむだね~。てと様」
「あ、室長。昨日は10時に寝たんです。いつもより、…あれ?今、てと様って言いました?」
気のせいに決まっている。ぼくがてと様と呼ばれるなんて。
「うん。今日仙道さんの配信に出てたよね」
出たかな?出たかも。朝早くに来た迷惑な電話取ったかも。
「私、誰にも言わないから、お願いしたいことがあるの!」
「脅しですか?別に言い振らされても困らないので、どうぞお願いなら別の人に…」
「私、てと様のファンなの!」
「へぇ」
やっぱりお願いくらいなら聴くだけ聴いてあげてもいいかな。応えるとは言ってないし。
「私、VログでVTuberをすることになったの!で、ママをてと様にお願いしたいの」
Vログは大手とは言わないが、それなりに有名になってきたグループだ。
「そういうのは会社を通して言えば良いんじゃないかな?ぼくは全くてと様なんかじゃないんだけどね」
「会社にお願いしたら金搾り取られるから無理だって。金の亡者のてと様ムーブも可愛いけど、今は困るんだよ」
「個人Vのガワで◯0万。企業だったらもっと盗るね。こっちだって善意だけで商いしてるわけじゃねぇんですわ。結局、クラスメイトのよしみで安くしてほしいってことで良いの?」
「それは…」
「ネットでバラすって脅す?クラスメイトにバラすって脅す?どっちにしろネットで流れるだろうから変わんないか。そうなったら退学して東京でも行こうかな…」
「わ、私、な、何でもします!だから、私のママになってください!」
「じゃあ、ぼくのことママって呼んでよ」
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