道に舞う花弁
旦那様、今日はこちらで如何ですか?
主人「ああ、よろしく」
従業員1「旦那様はあんなにお若いのに、すごく落ち着いていて、とても紳士的ね〜!」
従業員2「ほんとにね〜!あんな方と結婚したいわ…」
主人「はぁ、面白みがない」
執事「…ナギ様?」
ナギ「ん?」
執事「皆に聞かれたら大変です」
ナギ「別に問題は無いだろ」
執事「大ありです!」
ナギ「あー、わかったよ…」
執事「頭を掻く癖は変わりありませんね」
ナギ「サイは顎に手を当てるくせ変わらないよ」
サイ「…お互い様ですね」
ふっと笑う。目を窓に向けると、屋敷の近くに人だかりが出来ていた。
ナギ「…なぁ、サイ」
サイ「ナギ様?言葉使い…」
ナギ「良いから見てみろって!」
サイ「ちょっ」
…………
サイ「何をしているのでしょうね」
ナギ「興味が湧いた。行ってみよう」
サイ「ナギ!?…はあ、困った方だ」
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ナギ「んー、この辺だったな」
サイ「その大量のお菓子はどうされるのですか……」
ナギ「ん?帰って使用人に渡すのがいいだろ」
サイ「そういう所は抜かりありませんね」
ナギ「労ることも大切だろ?」
サイ「はぁ…」
ナギ「あ、これお前のね」
サイ「ありがとうございます…」
ナギ「お!あれじゃないか?」
サイ「ん?…あぁ、夏風の踊り子ですか。」
ナギ「ほー、あれが?」
サイ「まだ夏でもないのに、こんな所で何やってるのでしょうか?」
ナギ「…なんか面白…んん、あるんじゃないか?」
サイ「今面白そうと言いそうになってませんでしたか?」
ナギ「良いから行くぞ!」
サイ「待ってくださ…はぁ、今向かいます!」
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音楽とその踊り子は場を支配していた
夏風の踊り子とは、正に夏の風のようにじめっとまとわりつき季節にあった踊り子もいるが、夏風の踊り子は踊れるものもすごく少なく見ることがなかなか出来ない者だ。
ナギ「…ほう、踊っているみたいだな」
サイ「な、なんてことを…」
ナギ「っ…面白いことをする」
サイ「面白くなどありません!まだ春の時期に…」
ナギ「いいじゃないか!もっと面白いものを見せてくれそうだ!」
サイ「…ナギ様……」
ナギ「ん、なんだよ?」
サイ「こと」
ナギ「あー、今日はおやすみ!」
サイ「あ!…っと行ってしまいましたか」
ーーー嫌なことが起こらなければいいのですが…
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ナギ「よ!面白いことしてるな?」
踊り子「…なに?」
ナギ「何とはご挨拶だな!なあ、なんでこの時期に踊ってるんだ?」
踊り子「…」
ナギ「あ、あと、あんたの名前は?」
踊り子「…カフア」
ナギ「ほお、異国の方から来たのか」
カフア「ん」
ナギ「そうかそうか!なあ、カフア。何か面白い土産話はないか?」
カフア「まだ踊らないと」
ナギ「いいから!ほら、こっち!」
カフア「なに…!?」
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噴水広場
ナギ「…お前、なんで夏風の踊りをしたんだ?」
カフア「…まだだから。」
ナギ「?なにが」
カフア「…夏が」
ナギ「…どういうことだ?」
カフア「時間がかかるの」
ナギ「…ほう。今年は豊作にならないのか」
カフア「なんでわかったの」
ナギ「んー、内緒!」
カフア「…」
ナギ「ははっ!そう怒るなよ!」
カフア「こんな人ばかりなの?この場所は」
ナギ「ん?全然!俺だけ」
カフア「…」
ナギ「おまえ喋らないのに、顔で分かりやすいな!」
カフア「はあ、取り繕うのもバカみたいだからやめるわ」
ナギ「そう来なくちゃな!」
カフア「ま、そんな所よ。それだけ」
ナギ「へー、別の意味とかはねえの?」
カフア「意味…大きな出来事が起こる…とかってこと?」
ナギ「そ!」
カフア「そんな所までは分からないわ」
ナギ「まあ、だよな」
カフア「でも…」
ナギ「でも?」
カフア「なにか大きな出来事が起こりそうだわ」
ナギ「運命を変える!みたいなか?」
カフア「そ。まあ、言っても信じる人なんていないし、あーやって踊っていたの」
ナギ「ほー、それはご苦労さま」
カフア「…バカにしてる?」
ナギ「してないしてない!…俺はこんなやつだから周りに友人も少ないんだ」
カフア「ふーん。苦労してるのね」
ナギ「お返しのつもりか?」
カフア「そうよ」
ナギ「お、言ったな〜!?」
カフア「なによ!気持ち悪い!」
ナギ「ははっ!お前面白いな!」
カフア「〜っ!」
サイ「ナギ!」
ナギ「お、サイ!どうしたんだ?」
サイ「どうしたんだ?じゃありませんよ!全く…」
ナギ「ははっ!ごめんごめん!」
カフア「…友達?」
ナギ「ああ!たった1人の友達!」
サイ「はじめまして、サイ…だ」
ナギ「っ」
サイ「今笑いましたね?」
ナギ「いやっ別に?」
サイ「…」
カフア「サイも大変ね?」
サイ「はい…」
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