第六話☆家、完成
ちょっと短め!!
「…まぁ、とりあえず、木を切る前に、木にお祈りをすればいいんだね」
「そうよ!それと、木の倒れ落ちる方向もきちんと考えなさい!しかも、木が倒れる時の音もすごいデカいのよ!落ちる直前に風魔法でソッと浮かせたりとか、色々方法はあるわ。
ところで、どうして木を切ってたのよ?」
「家を…造ろうと思って…」
私の答えに対してレアは満面の笑みをこぼす。
「まぁああああ!!ちょうどいいところに来たわ!感謝なさい!この私、緑の妖精にかかれば家なんてちょちょいのちょいよ!」
「え!?すごい!妖精なのに人の家が造れるんだね!」
「あったりまえよ!人の家の造りを何百年も観察したもの!」
妖精にとって、人と時間の感覚が異なっているかも知れないが、私は思ったことを口にした。
「……暇だったの?」
「リリィは一言余計なのよっ!!まぁ、いいわ!私は寛大だからね!リリィの家くらい一瞬で作ってやるわ!
普通の一軒家の大きさでいいのよね?」
「…え?造ってくれるの?!うれしい!」
レアは私の顔を見て、ニコッと笑った。
「まぁ、私にどーん!っと任せなさい!」
レアは急に真剣な顔つきになり、両手を広げ、深呼吸する。レアの周りの光の粒の数が多くなり、静かに風が巻き上がる。
その風に触れてみると、何故か暖かな気持ちになった。
風に伴い、レアの長い金髪の髪と緑色のドレスがフワッと膨らむ。
ーーー綺麗…
私はただ、そう感じた。
私はなんとなくレアが魔法を使うために魔力を練り上げているんだな、と思い、静かにレアの姿を見つめた。
レアの広げた腕の先に様々な大きさの魔法陣が何重にも渡って形成されていく。
私が雑に切り落とした木がゆっくりと持ち上げられ、様々な大きさに切られていく。
そのまま、開けた森の真ん中にゆっくりと積み上げられていく。
「うん…2階は欲しいよね…お庭もあればいいかな…あと…お風呂とか…」
「…」
レアの囁くような言葉に私は何も答えられなかった。何か言葉を発すれば、レアの集中を切ってしまうような気がしたから。
色々なところに細かく魔法陣が浮かび上がり、周りの草木も小さな花が咲き始め、レアの魔力を感じ、喜んでいるように見えた。
私はこの幻想的な風景に目が釘付けになった。
瞬く間に私の家が完成した。