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リリィは不老不死の魔女のようです  作者: パンダ小太郎
第二章 吸血族の里
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第五十二話☆複雑



今回はちょっと長め!







「その…それで、えっと…。」


目の前に座った少女が目に涙を浮かべながら今まであったことを話す。その姿は私たちに説明している、というより自分で状況を整理しているように感じた。


一番の驚きは、メルリーナが人間じゃなかったこと。

見た目は完全に人間なんだけどなぁ……。レアは気づいてたのかな。


私はずっと静かにメルリーナの話を聞いていた私の家族、レアの様子を伺う。


「……すやぁ……。」


こいつ、気持ちよさそうに寝てるぞ。頑張ってメルリーナが話してるんだから聞いてあげなよ!!


私の視線に気づいたのかレアが軽く身動ぎする。



「うぅ~ん……。あら、リリィ。どうしたの…?」


くっ……!!寝起きのちょっと舌っ足らずな話し方が可愛い!!でも、人が話してる間に寝ちゃうのはなぁ…。


「……おはよう。よく眠れた?」


「あら、ごめんなさいね、お話が長くってつい。だって、私はリリィと一緒にいられればそれでいいんだもの。はっきり言ってしまえば、あなた、えっとメルリーナ?がどんな事情を抱えていようと私には関係ないのよね。」


「レ、レア…。」


もちろん、レアが私のことを一番に考えてくれるのは嬉しい。とっても嬉しいんだけど…。レアって…そっか、レアの中できっと大切なことがはっきりと順位付けられているんだ。私みたいな中途半端な優しさじゃない。


メルリーナはレアの言葉を聞いたとき、特に驚いた様子も傷ついた様子も無かった。ただただ、静かにレアの言葉を受け止める。


「妖精様がそうおっしゃるのも、当たり前、だと思う。な、長々とお話を聞いてくれて、ありがとう。あと、その、助けてくれて、ありがとう。ご飯も。」


「うん。それは構わないけど…。メルリーナはこれからどうするの?」


「えっと…。あたしは、一度、里に戻ります。」


「え!?大丈夫なの!?」


「その…。今おかあさんが何をしているのか、知りたくて。」



まだ小さな女の子であるメルリーナが今、私の目の前で張り詰めたような表情をしている。


助けてあげたい。


でも、私も一緒に行って何ができるだろう。もし、戦闘になったとして私は足手纏いにならないかな。ってかメルリーナは戦えるのかな…?


そもそも戦闘になる状況って…?


正直に言うと、メルリーナの話はちょっと複雑で頑張って理解してみようと思ったけどところどころよく分からない。

そもそもどうして、その大好きな人である母親の事を忘れていたのか。

どうして小屋に住んでたのか。

姉と呼んでいた人がどうしてメルリーナと呼ばれていたのか。


分からなくなってきた。頭パンクしそう。


でもきっとメルリーナ自身も何も分からなくてモヤモヤが止まらないから、はっきりさせたいんだろうな。


うーん…。複雑だ…。


私は思考を一旦放棄し、メルリーナをジッと見つめる。


…そういえばメルリーナが着てた服、ところどころ破れてたけど、素材がしっかりしてたな。複製させてくれないかな。


あ!そうだ、ご飯のレシピとか教えてもらえないかな。そろそろ今と少し違う料理が食べたい。


「ねぇ、メルリーナは普段どんなご飯食べてたの?」


「んと…、パンとジャムと…スープとか、あとは…うーん、大体それくらいかも。」


ジャム……?ってことは砂糖があるの…?


ほ、欲しい!!!


私は勢い良く立ち上がり、目の前に座っていたメルリーナの両手を私の手で包み込んだ。


「メルリーナ、私も手伝うよ。一緒に行く!」


「え、ほんとう?!…あ、でも、巻き込むわけには、いかない。」


メルリーナは一瞬表情を明るくした後、すぐに俯いてしまった。


「取引しましょう。メルリーナの着ていた服を一枚、分けて欲しいの。あと、出来ればお砂糖も。」


「えっと…、服は小屋にあるよ。姉が定期的に、くれたから。お、お砂糖は…姉が吸血族の里で作ってる物の一つって言ってたから…、どこかにあるんじゃないかなぁ…。」


「じゃあ、交渉成立ね。えっと…。」


勝手に決めてしまったけど、できればレアにも手伝って欲しい。でもきっとレアなら、一緒に来てくれるはず。だって家族だもの。


私はゆっくりとレアの方を向く。


「その…レアも一緒にいて欲しいの。どう?」


「うーん、そうねぇ。どうしようかしら。」


「お願い!!!!」


「どーしよーかしらー?」


ニヤニヤとレアが笑う。もう一押し。


「レアが手伝ってくれたら、私とっても嬉しいな!!おねがーい!!」


「んふふ、仕方ないわね。一緒に行ってあげるわ。言っておくけど、リリィの頼みだから了承したのよ?」


「ありがとう!レア、優しい!!」


「妖精様、リリィさん、あ、ありがとう…!」


ということで、私達も吸血族の里に行くことになりました。





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