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冒険の街クロスハート

今週はずっと忙しくてなかなか更新が出来ませんでした。遅くなりすみません。

「時間、だね。」


 学院の敷地内にある女子寮の一室で、聖奈は名残惜しそうに僕を見つめそう呟いた。その表情を見ると、やはり多少強引にでも僕についてきてもらうほうが良いのではないかと思ってしまう。


「聖奈……」

「いいんだよ、綴理君。私がこうするって決めたんだから。」

「でも……」

「確かに学院にいる間離れるのは寂しいけど、夜には会えるから。ちゃんと会長として頑張ってくるよ。」


 そこまで気持ちが固まってるなら引き留めれないな。


「……分かった。出来るだけ早く迎えに行く。それと、いつでも僕のスキルで帰ってきていいから。」

「ふふっ、もしかして綴理君の方が寂しがってる?」

「そうかもね。僕は誰よりも寂しいのが苦手だし、できることならずっと一緒に居たいと思ってる。愛する人の近くに居たい、そう思うのはおかしいことかな?」


 言葉やティアがいるからって聖奈がいなくて良いってことにはならないんだ。


「もう、本当にそういうこと平気な顔して言うんだから。」


 そう言うと聖奈は僕の頭を自分の胸元に抱き寄せ、安心させるようにそっと撫でた。


「ありがとう。学院には会長として行くって決めたけど、帰ってからはずっとそばにいるから。それまで待っててね。」


 そうして暫く撫でられていると、段々と気持ちが落ち着いてきた。


「ごめん。時間取らせちゃったね。」

「ううん、元々早めに時間設定してたから問題無いよ。それより可愛い綴理君が見れたから良かったかも。」

「そ、そっか。まぁ聖奈がいいならいいよ。」

「うん、じゃあ今度こそ行ってくるね。」

「行ってらっしゃい。」


 こうして予定より少し遅れながらも聖奈を学院に送り出した。


「ふぅ、それじゃあ言葉たちのとこに戻るか。」



舞台は変わって(シーンスイッチ)



「ただいま。」

「あ、おかえり。」

「おかえりなさい。」

「二人とももう行ける?」

「大丈夫だよ!」

「はい、準備は出来てます。」

「それじゃあ早速行こうか。」


 僕は再びスキルを使用し三人で魔皇国へと転移した。



「昨日街に入ったとこだったから今日はそこからだね。」

「うん。まだ全然見れてないから楽しみ。結構日本に近い文明レベルだからかなり期待しちゃってる。」

「案内は任せてください。色々回りましょうね。」

「うん!」


 こうして僕たちは魔皇国最初の街を回り始めた。



「今いるのはクロスハートという街です。私たちが通って来た森が近くにあって魔物が多く狩れるので、冒険者稼業が盛んですね。王国で言えばエルカシアのようなところです。」

「そっか、ここでも冒険者出来るんだ。」

「そうですね。ですが当然王国やその他の国と国交が無いので冒険者ギルドも別物です。なので冒険者登録をし直す必要がありますね。」

「私たちは魔族じゃないけど出来るの?」


 それは僕も気になっていたところだ。どうなんだ?


「この国では種族による差別は無いので問題無く出来ますよ。」

「王国であれだけの扱いをされてるのに温厚なんだな。」

「というより国全体で広く信仰されている神の影響かと。」

「神?」


 またいきなりな単語が出てきたな。


「はい。魔皇国では一柱の神が信じられています。古くから伝わる話によると、私たち魔族がまだ魔族と呼ばれていなかった頃、生まれ持っての魔力が高く身体能力も高いことで危険視され排斥されていた種族を纏めて一つの国、つまり魔皇国を作った人がいたそうです。それが初代魔皇であり、その人に助言を与え、導いた存在、それを私たちは神として信仰しているんです。実際に彼は自分自身を愛を司る神だと言い、仮の名ハートを名乗ったそうです。」

「じゃあその名をとって国名に?」

「はい。街の名前にも多く含まれています。」


 そういう理由だったのか。一つ疑問が解明されたな。


「それで、その神が愛を司る神だから愛を持った対応をするってこと?」

「彼は常日頃から他人を愛することを説いていたそうで、実際に慈愛に満ちた人だったみたいです。それを直接経験した人たちが自らそうするようになって、それが段々と広まっていったと言われています。」


 そういう背景があったのか。まぁなんにせよそういう国なら過ごしやすそうだな。


「まぁ、全員が全員その通りに過ごしているという訳ではなく、あくまでもそういう人が多いというだけなんですけどね。」

「それでも王国よりかは治安が良さそうだね。」

「それは間違いないと思います。」

「そっか。じゃあその辺りも知れたことだし色々みていきますか。」

「うん。」


 僕たちは観光を再開した。



 まずはじめにやって来たのは冒険者ギルドだった。何故?と思うかも知れないが、国が違えば通貨も違うのだ。何をするにしてもまずはお金を用意しないと。という訳で、


「「冒険者登録をお願いします。」」

「ではこちらの書類に必要事項を記入して提出してください。」


 王国の時と同じように手早く空白を埋めていく。二人が書けたところで纏めて提出した。ティアの分が無いのは実はもう既に登録がされているからだ。王国に来る前に登録だけはしてあったらしい。


「確認しました。冒険者についての説明は必要でしょうか?」

「お願いします。」

「では………」


 一応念の為聞いておいたがこれといって特別なことは何もなかった。冒険者のやることはどこも基本同じみたいだな。


「……以上です。ではこれから冒険者として頑張ってください。」


 説明を聞き終わったので、次は買い取りカウンターに移る。


「素材の買い取りをお願いしたいんですが。」

「承りました。」

「結構量があるんですが大丈夫でしょうか。」

「それでしたら裏での買い取りになります。」

「分かりました。」


 そうして案内されるまま裏の倉庫までやって来る。


「ではここに素材を出してください。」


 その言葉に従って言葉が収納していた素材を一気に出す。


「っ!……確認致します。」


 一瞬驚きで固まった受付のお姉さんだったが、なかなかしっかりした人のようですぐに保ち直して確認作業を始めた。


 十数分程して確認作業を終えたお姉さんから声がかかった。


「大変、お待たせ、致しました。買い取りに、移らせていただきます。」


 お姉さんは少し息が上がっていた。まぁ森で狩った分全部出したから作業量多かったもんなぁ。お金が必要とはいえ小分けにした方が良かったかも。今度から気を付けよう。


「……計八十九体で百十二万ハーツになります。ご確認ください。」

「ありがとうございます。」


 初めての魔皇国通貨を受け取って僕たちはギルドをあとにした。


「ここの通貨はハーツか。」

「はい。国内共通の通貨です。」

「これで心置き無く観光出来るね。」

「はい、皇城に向かいつつ街も見てみましょう。」

「冒険者の街だし、武器とか見てみる?」

「エルカシアで買って以降買ってないもんね。良い機会だし補助道具とか補充しよっか。」


 そういう訳で最初の買い物は武器屋ですることになった。



「いらっしゃい。お兄ちゃんたち見ない顔だな。この街に来たばかりかい?」


 ギルド近くの武器屋に入るなり店主のおじさんが声をかけてきた。話しやすそうな人みたいで良かった。


「はい、ついさっき来たばかりなんです。」

「おお、やっぱりそうか。どうだいこの街は。」

「前までいたところはここまで発展していなかったので、色々と新鮮で面白いですね。この後皇都にも向かう予定なので楽しみです。」

「そうだな。皇都はここよりも進んでるからきっと楽しめるはずだ。それで、何か欲しいものはあるかい?」

「そうですね。冒険の最中に使う補助道具でいいのがあれば。」

「う〜んそれだったらこれなんてどうだい?」


 そう言って渡されたものは、手榴弾のようなものだった。


「これは?」

「簡易的な魔法が込められていて、魔力を流し込むだけでそれを発動出来る使い捨ての魔導具だ。沢山種類があるから色々見ていってくれ。」


 勧められたとおりに見ていくと、確かに色々種類があった。エルカシアでもあったような麻痺の効果やちょっとした電撃を発生させるもの、大きな音を発生させるものや強い光を発生させるものなど本当に色々だった。


「なんか一部元の世界にも売ってそうなのあるね。」

「うん。使ってる技術は違うけど、発想は近いね。」

「ツヅリさんたちがいた世界でもこういう魔導具があったんですか?」

「魔法が無かったから科学技術で作られてるけどね。」

「科学、ですか。」


 この世界は魔法基準で発展してるからか、ティアもよく分からないようで首を傾げている。


「うん。魔法の仕組みを理解したうえで無詠唱魔法を組み立てるみたいに普段当たり前にある現象の仕組みを理解して誰でも使えるようにしたのが科学技術だよ。この世界の人が見たらそれこそ魔法かもね。」

「なんとなく理解出来ました。無詠唱魔法の発想もそこからなのでしょうか?」

「そうだよ。理屈が分かってた方が応用が利くからね。原理を理解するって大切なことなんだよ。」

「そうですね。無詠唱魔法を勉強していると身に沁みて分かります。」


 そうして話しつつ、使えそうなものと少なくなっていたポーションをいくつか見繕っておじさんのところに持っていった。


「魔導具八つとポーション十五本で六万九千ハーツだな。」

「これで……丁度ですね。」

「毎度あり。それじゃあせいぜいこの国を楽しんでってくれ。」

「はい。」


 こうして僕たちは物品の補給を終え、武器屋を後にした。


「それじゃあティアの両親も待ってるだろうし皇都に向かおうか。」

「そうだね。ここは冒険する為の街だから観光するにも皇都に行った方が楽しめそうだし。」

「はい。観光にせよ、皇城に行くにせよ皇都に行くのが一番です。」


 皆の意見が一致したので、来たばかりではあるが早々にこの街を出ることにした。目的を果たしたらまた来よう。来ようと思えばいつでも来れるんだから。


 さあ、次は皇都だ。遅くなったけどやっとティアを両親に会わせてあげることができる。両親二人も心配しているだろうから早く安心させてあげないとな。

面白い、続きが読みたいと思った方は星やブックマークをつけていただけると嬉しいです。感想なども気軽に書いてください。とても励みになります。今後も今週のようになかなか更新が出来ない週があると思いますが、これからもこの作品をよろしくお願いします。

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