妖精の宿り木亭
教えてもらった宿に着いて扉を開くと気持ちの良い笑顔で女将さんが出迎えてくれた。
「いらっしゃい。食事?それとも宿泊?」
「宿泊ですね。まだ部屋は空いてますか?出来れば二部屋あると良いんですが。」
「あら、ごめんなさいね。今は一部屋しか空いてないの。大きめの部屋だから二人でも狭くはないと思うけど。どうかしら?」
「そうですか。人気の宿ですもんね。僕もここが良いって紹介されて来ましたし。」
「あらそうなの?それは嬉しいわ。それで、どうする?」
「どうしようかな。言葉はどうしたい?言葉さえ良いならここにしようと思うんだけど。」
「う、うん。私は構わないよ。今は手持ちが心許ないし、抑えられるとこは抑えないと。それに、綴理くんなら……。」
「言葉?」
「ううん、なんでもないよ!とにかく、私もここで良いと思う!」
「そっか。うん、それなら。その部屋でお願いします。」
言葉がなんか変だがまぁいいか。
「決まりね。期間はどれくらいにする?ちなみに一泊だと食事付きで銀貨三枚ね。一週間にすると大銀貨二枚になるわ。」
「そうですね。当分はここから動く予定はないし……。一週間でお願いします。それでいいかな、言葉?」
「いいよ。拠点があると行動しやすくなるし。」
そういう訳で予定通りここに泊まる事になったのだが、それは良いとして重要な事を聞き忘れていた。
「あ、そういえばここってお風呂ありますか?」
「あるわ。ここは冒険者が多く泊まるからね。大浴場は入ってすぐの廊下を突き当たりまで行ったとこよ。タオルと石鹸は大銅貨八枚で用意出来るけど?」
「「お願いします!」」
普段はおとなしい言葉もこの時は前のめりだった。
日本で生活してた身としては風呂は欠かせないからなぁ。特に女子だし。
「男の子と同じ部屋だもん。綴理くんはそういう事気にしないかもだけど、それでも綺麗にしとかないと……。」
言葉が何か言っているみたいだけど声が小さいし独り言みたいだから気にしなくていいか。
とにかく部屋に行こう。今は落ち着いて状況を整理したい。
「二人分で大銀貨四枚と銀貨一枚、大銅貨六枚ですね。じゃあこれで。」
「うん、ちょうどね。じゃあこれ、部屋の鍵。三〇五号室は三階の一番奥よ。」
「ありがとうございます。じゃあ行こっか。」
「うん。」
二人の若者を見送った後、女将さんはほぅと息をはいた。
「あの二人、なかなかいい感じだったわ。若いって良いわね。ついつい嘘ついちゃった。まぁ、いつもの感じだとすぐ空きの部屋も埋まっちゃうから問題なし!」
なかなかお茶目な女将さんだったようだ。
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