親切なおじさん
暫く歩いて街に着いた。
王都の外とはいえそこそこ人はいるからここらへんは魔物の心配も無さそうだな。
あとは人間にだけ気を付けていれば良い。そうそう危ない人には出会さないだろうからそんなに心配しなくてもよさそうだが。
と思っていたらちょっと怖そうな人に声をかけられた。
「よぉ、兄ちゃん達ここいらでは見ない格好だなぁ。旅のもんか?」
なかなか強面だから言葉は萎縮してしまっている。
だからここは僕が対応する事にした。
「まぁそんなところですね。ここら辺の事はよく分からないんで大体でいいんで教えていただけませんか?」
「お、おう。兄ちゃんなかなか肝がすわってんだな。俺ぁこんななりだから初めて会うやつは大体びびっちまうんだがなぁ。まぁ、怖がんないでくれんならそのほうが良いが。」
「いえ、あなたからは悪意を感じなかったので。こう見えて人を視るのは得意なんです。」
「そうか。で、この辺りのことだな?具体的に何が知りたいんだ?」
「そうですね。物価や習慣とかもありますし、あとは今ちょうど食事処とか宿屋を探しているのでそのあたりが知りたいです。」
「いろんなとこから人が集まってるからこれといった習慣とかはねぇかな。人それぞれだな。物価は……そうだな。大体林檎一個が大銅貨一枚ってとこだから一般的じゃないか?それと…」
「あ、その前に一ついいですか?」
「おう、どうした?」
「僕たち辺境の村から出て来たので、硬貨の仕組みを知らないんです。」
「そうなのか。じゃあそれもだな。まず、硬貨の種類は安い方から順に鉄貨、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨、王金貨だ。価値としては鉄貨一枚が一エルクで、それから順に十倍してく感じだな。ちなみに王金貨はそうそう貰うことなんてねぇが、これはこの国だけの硬貨だから他国に行った時はただの勲章みたいなもんだ。まぁ、持ってるだけで国から身分を保証されてるって証拠になるけどな。それ以外の硬貨は大体の国で使える。ざっとこんなもんかな。」
「ありがとうございます。」
「で、あとは食い物と宿屋だったな?それだったらちょうど良いとこがある。ここからちょっと歩いたとこに冒険者ギルドがあるんだが、その斜め向かいに妖精の宿り木亭ってのがあるんだ。そこの飯は美味いぞ!料金もそんな高くないし部屋の質もなかなかだ。そして何より空気が良い。あそこは通う客もいい奴ばっかだしすぐにくつろげるさ。あそこからギルドに通う奴も多いしな。」
「そうですか。分かりました。何から何までありがとうございます。」
「気にすんな。困ったときはお互い様よ。そういや兄ちゃん達名前はなんていうんだ?俺はダイスだ。」
「僕はツヅリで、この子はコトハです。」
「ツヅリにコトハだな。これも何かの縁だ。またあった時はよろしくな!」
「はい!よろしくお願いします。」
そうして少し強面の親切なおじさんは去って行った。
「ダイスさん、良い人だったね。でもどうして初めて会ったのに良い人って分かったの?」
そう言って言葉は不思議そうな顔をした。
「これといった明確な証拠とかは無いんだけど、顔を見れば大体読み取れるんだ。ほら、前に話した事無かったっけ?人狼ゲームとか友達と一緒にやると配役決まった瞬間に誰が人狼か分かっちゃうからつまんないって毎回初夜に殺されてたって。そんな感じだよ。」
「そういえばそんな事言ってたね。でもそれって結構凄いよね?悪意のある人は事前に避けられるって事だもん。」
「小さい頃から周囲の顔色を伺って生きてたら自然に身についてたからなぁ。誇れる物ではないよ。言葉の言うとおり便利だけどね。」
なんて話しながら、僕たちは教わった宿まで歩いた。




