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やっと

何故かログインが出来ず少し遅れました。今回はぎりぎりで書いたので短めなのと、文章におかしな所があるかも知れません。ご了承ください。

 私たちが勇者としてこの世界に召喚されてから二ヶ月が経過した。


 私はいつも通りに午前中の城での訓練と午後の実戦訓練を熟し、大浴場で汗を流してから夕食の席に着いていた。そしていつも通りに表情を貼り付け周囲の楽しくもない話に相槌をうちながら無気力に食事を摂る。それからいつも通りに他の生徒と別れて自室に戻って明日の訓練に備え、眠りに就くのだ。この2ヶ月間ずっとそうしてきた。だから今日もそうなのだと思っていた。


 しかし、夕食の時間が終わって自室に戻ろうという時、全ての勇者は広間に集まるようにとの通達がなされた。どうやら王から直々に話があるらしい。私たちはそれに従い広間へと向かった。



 広間に着くと、王とその側近らしき人が奥の方で私たちを待っていた。その他の使用人たちは、広間に来た勇者達の人数を数えそれを側近へと報告している。それから少しして、勇者全員が広間に集合したのを確認した王は徐に口を開いた。


「勇者諸君、まずは招集に応じてくれてありがとう。今回諸君らを集めたのは、召喚されてから今日に至るまで休まず訓練に励んでくれた君達に、ささやかながら褒美を与える為だ。して、その褒美についてだが、勇者全員に金貨五枚と一週間の休暇を与えようと思う。長らく城に籠もりきりで街に出てみたいと思っていた者も少なくないだろう。この機会に存分に王都を見て回ってくるといい。その際に何か欲しい物が見つかることもあるだろう。その為の金貨だ。有効に使ってくれ。私からは以上だ。何か質問のある者はいるか?特別に発言を許そう。」


 少しして何人かの勇者が手を挙げた。その内の一人が指名され、口を開く。


「僕達はこの世界で買い物をするのは初めてなので物価が分かりません。金貨五枚とはどのくらいなのでしょうか。」


 それは確かに聞いておく必要がある。買い物をするにもお金の価値がどれくらいか理解していないと気軽に物も買えない。


「そうであったな。では説明しよう。この国ではエルクという通貨が使用されている。大体百エルクで果物が一つ買える程度だな。それで、金貨五枚というのは五十万エルクに値する金額だ。これだけあれば、ある程度の物は買えるであろう。これで良いか?」

「はい、ありがとうございます。」

「そうか、では次の者。」

「じゃあ私が。休暇中に外泊などはしても良いのでしょうか。少しでも多くまわりたいので。」


 これも重要だ。どこまで許可してもらえるかで私が出来ることも決まる。彼を見つけに行けるかもこれにかかっている。お願い。


「そうだな。一週間後に城にさえ帰って来ていればそれまでは自由にして良い。勿論外泊も許可する。ただ、くれぐれも帰る日を間違えないように。」

「分かりました。ありがとうございます。」


 きた。これなら一週間ぎりぎりまで探すことに専念出来る。もしかしたら彼に会えるかもしれない。すぐに準備を整えよう。



 その後何人か質問をして、解散となった。自室に戻ってドアに鍵をかけたことを確認し、ベッドに倒れ込む。


「やっと……やっとチャンスが巡って来た。もうずっと城から出られなくて諦めかけてたけど、これで綴理君を探しに行ける。会えなくても、何か情報でも掴めればいつかはきっと、会えるよね?」


 彼のことを考えるだけで、この2ヶ月で段々と枯れていった心がどんどん潤いを増し、どんどん熱を帯びていく。まだ会えると決まった訳じゃないけど、可能性があるというだけで、ただそれだけで身体中に力が漲ってくる。


 あぁ、やっぱり私はあの人が好きなんだ。


 会って絶対告白しよう。振られるかもしれないけど、会えないまま終わるより絶対に良い。その為にも何がなんでも見つけだしてみせる。なんだって、やってみせる。


「恋する乙女は強いんだから!」


 私は支給された鞄に替えの服や貰った金貨を詰め、手早く準備を整える。元々物は殆ど無いからあっという間だった。そして、ベッドに横になり瞼を閉じる。


 明日は誰よりも先に城を出る。その為にも早く眠らなきゃ。


 待っててね、綴理君……


 私は最後に見た彼の姿を思い浮かべ、ゆっくりと意識を手放した。



「遂に機会が巡って来たか。これを逃す手はないな。」


 俺はずっとこの時を待っていた。王から外出の許可が降りた瞬間から予定を立て始め、部屋についてからはすぐさま準備を始めた。前々から計画はしていたこともあって、やることといっても僅かな荷物を纏めるだけだったが。


「ふぅ、こんなものか。あとは明日に備えて寝るだけだな。」


 明日は早朝に城を出る。勿論彼を見つける為にだ。確かにこの世界についても気になることだらけだが、そんなものこれから先どうとでもなるだろう。今は何よりも彼がどれほどになっているかを知りたい。


 あぁ、楽しみだな。楽しみすぎて年甲斐もなく眠れなくなりそうだ。


「……落ち着け。まだ会えると決まった訳じゃない。冷静に、冷静にだ。取り敢えず明日以降は手掛かりを見つけることに専念するんだ。その為にも今は全力を出せるよう確実に睡眠を取らなければ。」


 無理やり心を落ち着かせた俺は、改めてベッドに寝そべり目を瞑る。


 明日からの一週間が勝負だ。持てる全てで見つけ出す。待っていろ、紡詞綴理。




 王から勇者達に外出許可が出された頃、綴理たちは、宿のベッドで並んで寝そべり翌日の予定を話し合っていた。


「綴理くん、明日は休日にして前に言ってたデートに行こうよ。」

「お、行きたいとことか決まったんだね。」

「うん、ティアと二人でばっちり決めたよ。でもそんなに多くなかったから、昼過ぎくらいには回りきれちゃうかも。もしそうなったら綴理くんの行きたいところに行こうと思うんだけど、考えてたりする?」


 確かにここの街は物を買うにはいいとこだけど、観光的な面ではあんまり無いからなぁ。見越して用意しておいた案が役に立ちそうだ。


「実は考えてあるんだよね。僕のスキルがあればすぐ行けちゃうし、全然見ないまま追い出された王都を見て回ろうかなって思ってたんだけどどうかな?」

「いいね!もしかしたら皆にも会えるかもしれないし。ティアはどう?」

「私も行ってみたいです。この国の中心がどんな街なのか気になりますし。」


 気に入ってもらえて良かった。


「じゃあ決まりだね。二人が行きたいところに行って、それでも時間が余ったら王都に行こう。なんならそのまま王都に泊まって少しの間観光してもいいよね。」

「それもいいね。というかそうしようよ。お金には結構余裕あるし連休デートにしちゃおう。」

「そうですね。いいと思います。明日からが楽しみですね。」

「うん、すごく楽しみ。」


 言葉の瞳は遠足前の小学生の如く輝いていた。こういう言葉も良いな。


「ははっ、それじゃしっかり寝て備えないとね。」

「うん。じゃあ……おやすみ。」


 言葉の行動は思いの外早かった。そこまで期待してくれてるんなら頑張らないとな。


「おやすみ。」

「それでは私も。おやすみなさい。」

「うん、おやすみ。」


 そうして僕たちは明日以降のデートへの期待を胸にゆっくりと眠りに就いていった。

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