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活動再開

 さて、今日から冒険者としての仕事を再開するぞ。ティアが一緒に暮らすことになって、出費も増えた訳だしどんどん稼いでいかないと。と、言う訳で、


「二人共、準備出来た?」

「うん、いつでも行けるよ!」

「はい、私も問題ありません。」

「よし!じゃあ今日から依頼を沢山熟して沢山稼いで沢山レベルアップするぞ!」

「「おー!」」


 僕たちは気合いを入れてテンション高めにギルドに向かった。



「今ある依頼の中で良さそうなのはこれとこれと……あとこれもだね。今日は取り敢えずこの三つを受けよう。場所も近いし並行して出来そうだからね。それに難易度もそんなに高くないからティアのレベルアップも兼ねて余裕を持って出来そうだ。どうかな?」


 そう言って僕は、依頼の紙を三枚テーブルに置いて二人に確認を取る。それぞれの依頼の内容はこうだ。


レギオンウルフの群れの討伐

ラピッドラビットの捕獲討伐

ワイルドシーフの討伐


「いいんじゃないかな。でもワイルドシーフって初めての魔物だよね?どういう魔物なの?」


 言葉が初めて聞く魔物の名前に首を傾げる。すると綴理が口を開く前にティアの方から説明がなされた。


「あ、それでしたら私が知っています。ワイルドシーフは要するに森に来た冒険者達を襲ったりして所持品を盗んだりする猿の魔物のことです。」

「野生の盗賊ってことだね。納得した。」

「良かったです。」


 三人全員が依頼の内容を理解した所で僕は再び口を開く。


「じゃあ改めて、この三つでいいかな?」

「いいよ。難易度も問題無さそうだし。」

「私はお役に立てるか分かりませんけど、お二人についていきます。」

「うん、ティアのことは僕がしっかり守るから安心して。ちゃんとレベルアップも手伝うから。」

「はい。宜しくお願いします。」

「私も手助けするからね。遠慮なく頼って。」

「コトハさん……はい、頼りにしてますね。」

「任せて!」

「よしじゃあ意見も纏まったことだし、早速始めようか。」


 こうして受付で申請を済ませ、依頼の場所へと向かった。



 向かった先ですぐに一つ目の依頼の対象を見つけた。レギオンウルフだ。


「いつも貼られてる依頼なだけあって探すのが楽だな。数が多いからすぐに見つかる。あれだけ毎日狩られてるのに一体何処から湧いてくるんだか。」


 そう言いながら、戦闘の構えをとる。相棒の短剣を左手に掲げ、無属性魔法とスキルの併用で身体強化を行う。これでいつでも戦える。


「言葉、どうする?」

「そうだね。レギオンウルフは狩り慣れてるから、ティアのレベルアップを優先しよう。」

「了解。ティアもいいかな?」

「私はどうすれば良いのでしょうか。」

「僕たちで動きを止めるから、ティアはとどめをお願い。」

「分かりました。やってみます。」


 方針が決まったので、僕はいつもの様に群れに向かい走り出す。僕の接近に気付いた群れは一斉に僕に向けて集まってくる。いつも通りだな。それじゃ、


「言葉!」

「おっけー。」


 僕の合図で言葉が群れの周りを土の壁で囲む。その一瞬に、僕は『瞬歩』で離脱。そして残った群れに向かって弱めに水属性魔法を使い、準備は整った。最後に複合魔法『雷撃』で上手く群れの全てにスタンが入る。


「いけたね。ティア、出番だよ。」

「はい!」


 僕はティアに声をかけ、手持ちの短剣を渡した。ティアとはまだ出逢ったばかりなので、装備が無いのだ。かくしてそれを受け取ったティアは緊張しながらも素早く群れに近付き一体ずつ命を刈り取っていった。


「出来ました。これで良いんですよね。」

「うん、それにしてもティアは魔物を狩るのに抵抗無さそうだね。」

「そうですね。私は魔族なので故郷には沢山魔物がいましたし、狩りをするのも生活の一部みたいなものでしたから。」

「やっぱり魔皇国って魔物多いんだ。」

「はい。あそこは自然に存在する魔素が濃いので魔物にとっては生活しやすいんです。」

「そうなんだね。早く行ってみたいな、ティアのご両親にも会いたいし。」

「きっと歓迎してくれます。私のことを心配しているでしょうし、それを助けたツヅリさんとコトハさんなら気にいる筈です。楽しみですね。」

「私も楽しみ。」


 そんなことを話しながら、一つ目の依頼が完了した。



 それから少し歩いて森の中に入った。難しいのはここからだ。背の高い木々が多い森の中では目的の魔物を見つけるのにはそれなりの労力を要する。普通ならここで幾らか時間を使うことになる。


「普通なら、だけどね。」


 僕はすぐさまスキルを起動する。



『索敵』



 一瞬にして周囲の魔物の反応を感知した。続けて、



一方その頃(アナザーストーリー)』『恋心同帯(ラバーズリンカー)



 捉えた反応のうち、対象の魔物はどれかを目視で把握し、二人に共有する。これで一瞬にして準備は完了だ。


「行こうか。」

「凄いですね。スキルがあるだけでこんなにも苦労しないなんて。」

「諜報チートスキルは伊達じゃないってことだね。」

「何よりその効果を全員に共有出来るのが凄いんだけどね。これも綴理くんと私たちの愛の賜物だね。」

「言葉もなかなか大胆になったな。」

「綴理くんの影響じゃない?」

「それはあるね。」


 そんな感じに本来魔物を探す時間を楽しく会話に使いながら、僕たちは森の奥へと入っていった。



 暫くして、目当ての魔物を肉眼で捉えた。ラピッドラビットだ。こちらは食肉用としての捕獲なので、傷は少ない方が良い。という訳で、僕の方でそれぞれ一撃で仕留めることにする。


「ここは僕がやるから、二人は周囲の警戒をお願い。」

「了解。」

「はい。」


 二人の了承を得た僕は、早速『瞬歩』で一気に距離を詰めて一羽目を仕留めた。続けて別の個体も同様に仕留める。それを繰り返すこと十分程、目標の数を狩りきった僕は二人の所に戻って来た。


「終わったよ。」

「ツヅリさん、お疲れ様です。」

「お疲れ、早いね。流石は綴理くん。」

「スキルがあると本当に楽だよ。見つける所から急所の位置まで完璧に分かる。」

「そうだね。綴理くんのスキル便利なのばっかりだからね。」

「うん。スキルコピーがあって良かった。」


 なんて話しながら早くも最後の依頼だ。


「さてそれじゃあ、最後の魔物、ワイルドシーフの討伐に行きますか。」



 再びスキルにより目標の位置を確認した僕たちは、また少し歩いて森の更に奥へと足を踏み入れた。


「そろそろだよ。」

「今回はどうする?普通の討伐だから誰がやってもいいんだよね?」

「そうだな。魔法で一掃するのが早いかも。」

「それじゃあ私の出番だね。」

「残ったのは僕が狩るから細かくなくてもいいよ。」

「了解。始めるよ。」


 言葉の合図で戦闘を開始した。


 まずは言葉の風属性魔法で木の上にいるワイルドシーフに無差別攻撃をする。生み出す刃の大きさを大きめに調整したオリジナルだ。


 原理を理解した上で魔法を使うとこういうことが出来るからとても便利だな。


 そうして何体かのワイルドシーフは絶命し、それ以外の個体は深めの傷を負って、木の上から落下した。そこを僕が『瞬歩』で近付きとどめを刺す形で一体ずつ狩っていく。初見の魔物でも、そこまで強くなければこのコンボで大体いけるのはありがたい限りだ。



 少しして、目標の数を討伐し終わった。あっという間に戦闘終了だ。


「申請した依頼、全部終わっちゃったな。」

「そうだね。まだ昼だけどどうしようか。追加で何か受ける?綴理くんは元気そうだけど。」


 僕としては全然いけるんだけど。


「う〜ん。ティアはどうしたい?」

「私は殆ど後ろで見ていただけでしたから、体力は残ってますよ。まだ全然動けます。」


 そっか、ならこうしよう。


「じゃあ、追加で依頼を受けよう。受けるのは僕一人だけだけどね。」

「どういうこと?」

「それを今から説明するね。まずこれからギルドに向かって達成報告をしよう。そこで僕は追加依頼を受けて依頼に向かう。そしたら二人は宿に戻って魔法の修練をして欲しいんだ。主に言葉がティアに教える形で。レベルアップも大事だけど、戦い方の幅を広げるのも同じくらい大事なことだから。」

「そっか。私の魔法は特殊だから、魔法を理解して覚えるのには良いもんね。綴理くんの時もそうだったし。」

「うん。そういう訳で、頼んでも良いかな?」

「私はいいよ。ティアも、それでいい?」

「はい、是非お願いします。」


 それじゃ方針が決まったことだしギルドに向かいますか。



「レギオンウルフ十五体、ワイルドシーフ五体の討伐と、ラピッドラビット十体の捕獲討伐を確認しました。合わせて四七五〇〇エルクとなります。」


 報酬を受け取り、その足で掲示板に向かう。ここで二人とは一旦別行動だ。


「それじゃあ、日が沈む前には帰るから。」

「気を付けてね。行ってらっしゃい。」

「行ってらっしゃい、ツヅリさん。」

「行ってきます。二人も頑張ってね。」

「うん。」

「はい。」


 そうして二人は宿に帰っていった。


 よし!ここから先は一切遠慮なしで稼ぎまくるぞ!


 という訳で、僕は自分のランクで受けられる最大限稼ぎのいい依頼を探す。最初の依頼が早く終わったおかげでまだ結構依頼が残ってるからしっかり選んで受けられそうだ。


「討伐依頼というよりかは素材回収の方がいいかな。素材の買取の方が割がいいし。……よし、これとこれにしよう。」


 僕はジャイアントクロウの討伐とキラーハウンドの牙と毛皮の素材回収をすることにした。



 さて、どうするかな。どっちも初挑戦の魔物だから情報が殆ど無いんだよね。


「範囲指定広めに探して観察してみるか。」



一方その頃(アナザーストーリー)



 街を出て少し離れた所にある獣魔の森を上空から俯瞰する。そこから『神創真理(ワールドノウン)』によって対象の二種を検索して見つけ出し、詳細情報を取得。


 ジャイアントクロウは上空からのヒットアンドアウェイが中心か。注意するのは爪と嘴で概ね予想通りと。キラーハウンドは単体でも強めなレギオンウルフってとこかな。どっちも余裕そうだな。まあそうなるようにランク設定されてるんだけど。


「よし、準備完了!早速狩っていきますか。」


 スキルを使いながら移動していた僕は程なくして獣魔の森に到着した。そして予め確認しておいたスポットに迷い無く足を進めると目当ての魔物が見つかった。キラーハウンドだ。


「グルウゥゥ!」


 どうやら匂いか何かで気付いたようだ。こちらに向かってあからさまな警戒と殺気を見せてくる。僕も戦闘態勢とって殺気を返し、視線を合わせてお互いの出方を伺う。


 先に動いたのは僕だった。一瞬攻めの姿勢を見せ、キラーハウンドに走り寄る。すると相手も僕に向かい駆け出した。段々と距離が詰まり、あと少しで触れ合うかという所で、


「来た。」


 僕は急停止をした。


「グルッ!?」


 そのまま来ると思っていたのかキラーハウンドは飛び掛かった姿勢のまま空中で無防備になる。


「ここ。」


 その進路から少し外れて短剣を構える。そしてそのまま一気に振り下ろす。


 ザシュッ


 キラーハウンドの頭が胴体から離れた。胴体はそのままの勢いで僕の前を通り過ぎていく。


「おっと。」


 というところで手を伸ばし、空中で胴体を掴んで円運動する形で勢いを殺しキャッチした。


「地面に擦れると毛皮が傷んじゃうからね。」


 そうして慎重かつ手早く毛皮を剥ぎ取っていく。この作業もコツはスキルが教えてくれるから、初めての割にとても綺麗に出来た。


「完了、次行こう。」



 三十分程して、所定の数集まった。というか途中から慣れてきて流れ作業になったから多めに狩ってしまった。まだ全然時間はあるけどそろそろジャイアントクロウに移らないとな。


「さて、何処かな?」


 あまり離れてはいないだろうから『索敵』で十分だな。………見つけた。どうやって狩ろうかな。軽く『斬撃』でも飛ばしてみるか。


「よいしょっと!」


 ヴンッ!


 空に向かって真空の刃が飛んでいく。


「グワッ!?」


 どうやら計算した軌道にいったみたいだな。空から一羽?の鳥が落ちてきた。かなり大きめだが。


「これがジャイアントクロウか。でっかい鴉だな。」


 と当然のことを口にしながら証明部位を切り取る。あと四羽。


「もう纏めてやっちゃうか。」


 僕は付近を飛んでいた二羽を見つけ、刃を二回放った。


 ヴンッ ヴンッ


「グワアッ!?」

「グワッ!?」


 あ、片方避けられた。しょうがない、直接狩るか。


 僕は身体強化を限界までかけ、助走をつけて跳び上がった。低めを飛んでいたジャイアントクロウのすぐ横だ。


「グワッ!?」


 度重なる突然の出来事にジャイアントクロウは混乱しているみたいだった。


 悪いけど滞空時間が短いんでね、いかせてもらうよ。


「せいっ!」


 空中で前転する様に短剣を振り下ろす。


 ズパアァァン!


 綺麗に首が切断され、残った胴体が力無く落ちていく。


「おっと。」


 その胴体を掴んで上に乗り、態勢を整える。そのまま木々のすぐ近くまで行き、ぎりぎりで木に跳び移る。


「ふうっ、ぶっつけ本番だったけど成功して良かった。でもこれはミスると死ぬなぁ。空を飛べる方法を取得しないと。帰ったら二人と相談してみるか。」


 なんて言いながら木からスルスルと降りていく。あと二羽。


「残りはやり方を気にせず気分で狩ろう。」



 十分程して残りを狩りきった僕はギルドに足を向け……ようとして立ち止まる。


「時間余ったな。どうしよう、狩れるだけ狩ろうかな。言葉たちも頑張ってるだろうし僕ももうちょっと頑張るか。」


 と、いうことで、僕は再び森の中に向かっていった。頭に最愛の二人を思い浮かべながら。


 言葉たちどんなことやってるんだろ。

次回、言葉とティア側。

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