久しぶりの勇者達
スキルが起動され、城の様子が脳内に流れ込んできた。勿論言葉とティアにも『恋心同帯』で共有してるから、二人にも見えている。
「一月半くらいだけど懐かしいな。勇者達はどうしてるかな。良くしてくれた人もいたから気になるな。」
「私もこの国の中心がどうなっているのか楽しみです。」
「ふふっ、そうだね。取り敢えずゆっくり見ていこう。」
さあ、どうなってるかな?
まず目に映ったのは、城の外だった。見やすいように空中視点になっている。
そうだ、僕たちは最初ここにいたんだ。懐かしいなぁ。まだ一月半しか経ってないけど。あれから皆はどうしてるんだろ。もう少し詳しく見てみるか。
今度は視点をずらして人のいる所を探す。しかし日が暮れかけている時間帯のせいか、外で活動している人は殆ど見当たらなかった。
「いないね。」
言葉が残念そうに言った。
「大丈夫。今度は城の中を見ていこう。」
そうして再び視点を変えて城内の様子を観察していく。すると、大人数が集まる場所が見つかった。
「お、食事中か。そういえばまだだったね。見終わったら僕らも食べようか。」
「そうだね。」
「はい、そうしましょう。」
「よしじゃあ続きを見よう。」
視線を勇者達に戻す。
勇者は各学年一クラスずつが召喚されていたようだったので、百人以上はいるだろう。それが皆集まって食事しているとなかなか壮観だな。この世界では殆ど無いことじゃないか?さておき、残った勇者達の食事はどんなもんかな。もう少し詳しく見てみよう。
「やっぱ美味いな!世界が違うから好みの味には出会えないと思ってたけど、案外いけるんだよな!」
「だよな!俺急にここに連れて来られて不安だったけど、ここまで待遇いいんだったら日本にいた時より良いかも。訓練さえ出れば衣食住の保証付きで自由時間もあるって。あっちじゃここまでしてくれねえもんな。まぁ、ゲームとかが出来ないのは残念だけど。」
食べながら元気に話している人達を見つけた。というか、このスキルって音声まで聞けるんだね。流石諜報チートスキル。この場合って遠隔だけどスキルの併用も出来るのかな。やってみるか。
『神創真理』
名前 ヨウスケ・タダ
Lv 16
職業 【拳闘士】
体力 720
魔力 600
物攻 400
魔攻 360
物防 360
魔防 320
スキル 『硬化』『火拳』
魔法 無属性魔法Lv1
称号 《転移者》
お!出来た。これで完全に遠隔での情報収集が可能になったな。実験台にしてしまった彼には悪いけど、これは嬉しい事実だ。これから頼りにさせてもらおう。
ということでもっと見ていこう。
暫く色々見ていると、食事の時間が終わったようでぞろぞろと部屋から人が出て行った。どうやら一人ずつ割り振られた自室がある様で、皆バラバラに向かっていく。じっとその様子を眺めていたけれど、その中に優遇職を獲得した三人を見つけ、視点を近づけた。
そういえばこの三人は僕たちの中でも格別のステータスを持っていた筈だ。申し訳ないが、今の自分たちの立ち位置を知る為にもチェックさせてもらおう。
『神創真理』
名前 リュウガ・サトウ
Lv 22
職業 【勇者】
体力 1820
魔力 1300
物攻 1040
魔攻 936
物防 624
魔防 624
スキル 『武装召喚』『聖剣解放』『統率』
『閃光剣』
魔法 光属性魔法Lv3 火属性魔法Lv2
無属性魔法Lv5
称号 《転移者》《聖剣使い》
名前 セイナ・カミシロ
Lv 19
職業 【聖女】
体力 1150
魔力 1150
物攻 552
魔攻 552
物防 828
魔防 920
スキル 『聖壁』『修復』『統率』『解毒』
魔法 聖属性魔法Lv5 水属性魔法Lv4
土属性魔法Lv3 風属性魔法Lv4
無属性魔法Lv3
称号 《転移者》《聖なる癒し手》
名前 サク・ミカゲ
Lv 21
職業 【賢者】
体力 1500
魔力 1750
物攻 750
魔攻 1000
物防 550
魔防 1000
スキル 『全属性魔法適性』『詠唱破棄』
『高速学習』『魔力回復(中)』
魔法 火属性魔法Lv5 水属性魔法Lv5
土属性魔法Lv5 風属性魔法Lv5
無属性魔法Lv3 治癒魔法Lv2
称号 《転移者》《変幻自在の魔術師》
凄い。スキルや魔法のことを考えるともう既に僕たちの方が強いけど、ステータス値はレベル差の割に差がつかないな。やっぱりそこは優遇職か。まぁ普通の職業の人に比べれば遥かに強くはなっているから、いつか会ったとしても堂々としていられそうではあるんだけどね。
そんなことを考えながら三人のステータスを眺める。
「………………」
っ!思い付いたけど、これは……どうしようかな。あ〜でも他の人にはもう既にやってることだからなぁ。気が引けなくもないけど、ちょっと気になることもあるからなぁ。………よし!せっかくの機会だからさせてもらおう。
「久しぶりの出番だ、『瞬間模倣』。」
そうして一月半ぶりのスキルコピーを始める。
「まずはあいつから貰うか。一番心が痛まない。」
最初の対象は佐藤龍牙にした。所持スキルは聖剣関連か、勇者だもんね。これは見るからに勇者固有のスキルだけど、コピー出来るのかな。まぁやってみたら分かるよね。
「纏めて行こう。」
『瞬間模倣』
頭の中に、一気にスキルの情報が流れ込んできた。………いける。どうやら通常スキル以外も対象に出来るみたいだね。お前の大事な固有スキル、貰っていくよ。まぁ、奪う訳ではないんだけど、もう勇者の特権は無いよね。今度会った時聖剣使えたら驚くだろうな。楽しみだ。
「あ〜駄目だな。あいつが相手だとついつい性格が悪くなってしまう。」
「綴理くんどうしたの?」
「あぁ、今勇者のスキルをコピーしてたんだけど、僕がこのスキルを持ってるって知ったら面白い反応するだろうなぁって思って。」
「そうだね。召喚されて勇者だって分かった時物凄く自慢してたもんね。きっと面白いことになりそう。」
「言葉もなかなかだね。」
「だって綴理くんを目の敵にしてた人だもん、少しくらいやり返してもいいんじゃないかなって。」
「まあちょっとしたドッキリみたいなものだからね。気にしなくていっか。」
そう話しながら二人で笑い合っていると、
「羨ましいです。私にもお二人の世界でのこと、教えてください。一人だけ話に入れないのはちょっと寂しいですから。」
ティアが少し悲しげにそう言った。
「ごめん、ティア。それじゃあ説明するよ。今僕が表示してる勇者なんだけど、僕が前の世界にいた時に軽いいじめみたいなことをしてた奴なんだよね。それでこの世界に召喚された時も自分の職業が勇者だって分かってからずっと調子に乗ってて、僕が追放される時凄くニヤニヤして見てたんだよ。正直良い奴ではなかったね。」
「そうなんですか。話を聞く限りでは私もあまり好きにはなれませんね。」
「だよね。まあそんな訳でちょっとした仕返しでも出来ればなぁって。面白くなりそうでしょ?」
「そうですね。少し楽しみです。」
「うん、じゃあそういうことで、残りの先輩方からもいただいていこうかな。」
よし、先輩方の方は少し申し訳ないけど、強くなる為に出来る事はなんでもするって決めてるから。
『瞬間模倣』
こうして僕は優遇職三人からスキルをコピーした。
「さて、確認してみようか。」
ステータス。
名前 ツヅリ・ツムギシ
Lv 29
職業 【天の声】
体力 2610
魔力 1450
物攻 870
魔攻 580
物防 1160
魔防 580
固有スキル 『神創真理』『心理求明』
『瞬間模倣』『恋心同帯』
職業スキル 『一方その頃』
通常スキル 『中級剣術』『中級槍術』
『中級杖術』『中級弓術』
『中級短剣術』『中級斧術』
『真偽眼』『索敵』『幻影』
『瞬歩』『剛力』『騎乗』
『超回復』『隠蔽』『魔法剣』
『調合』『斬撃』『武器破壊』
『魔力回復(強)』『五感強化』
『第六感』『閃光剣』『統率』
『聖剣解放』『武装召喚』
『聖壁』『修復』『解毒』
『詠唱破棄』『高速学習』
『全属性魔法適性』
魔法 火属性魔法Lv3 水属性魔法Lv3
土属性魔法Lv3 風属性魔法Lv3
無属性魔法Lv5 複合魔法『雷撃』
称号 《転移者》《探求者》《蒐集家》
《観測者》《愛する者》
《jm%d23@あgf》
あれ?勇者とかのスキルって通常スキルなんだね。もしかすると僕のステータスは別物だから特殊な枠には入らないのかな。まあいっか、コピーは問題無く出来たし。じゃあそろそろ終わろうかな。
「言葉、ティア、そろそろ見るの終わろうと思うんだけど、いいかな?」
「はい、色々と見れて楽しかったです。」
「そっか、良かったよ。言葉は?」
「あ、うん。もう満足したからいいよ。皆元気にしてたから安心した。」
「そうだね。扱いが酷かったのは僕たちだけだったみたいだ。」
少し皮肉を言ってみた。
「あれ?思ったより綴理くん気にしてた?」
「ははっ、そこまでではないけど多少はね。勝手に召喚して勝手に追放するのは良くないからね。特に言葉を不安にさせた罪は重いよ。そこが一番だね。」
「そっか。綴理くんらしいね。」
「そうですね。自分のことよりコトハさんのことを考えている辺りが。」
「当たり前でしょ?僕にとっては自分より言葉とティアの方が大切なんだから。」
「ありがとう、でも自分のことも大切にしてね。私たちの大切も綴理くんなんだから。」
「そうですよ。大切にしてくださいね。」
「分かった、自分も大切にするよ。二人を悲しませる訳にはいかないからね。」
そんな感じで新スキルのお試しが終了した。今後も偶に勇者達の様子を確認していこう。
「確認も終わったことだし、ご飯食べようか。」
「うん、もうそろそろ空腹で動けなくなりそう。」
「私も、食事しているのを見ていたらお腹が空いてきました。」
「僕もそうなんだよね。早速食べに行こうか。」
「うん!」
「はい!」
この後いつも通りに二人と過ごし、布団に入ってイチャイチャしつつ眠りに就いた。
今日は色々あったけど楽しかったな。




