大幅アップデート
少し長めです。
声が、聞こえる。
「ハート、あ、今はツヅリ様でしたね。ここまでお疲れ様でした。こうして干渉出来るまで近くに来てくれて、とっても嬉しいです。私、ずっと待ってたんですからね?早く私の所まで来てください。そしてもう一度、今度こそ本当の意味で愛し合いましょう。……そろそろ時間ですね。名残惜しいですけど、ずっと見守っていますので、今は全力で人生を楽しんでください。それでは行ってらっしゃいませ。大好きですよ、ツヅリ様。」
その声に何も返すことが出来ないまま、僕の意識はまた遠のいていった。
「ん……終わった、のか?」
目を開けると、変わらず泊まっているホテルの自室に横たわっていた。両隣を見ると、言葉とティアも僕のすぐそばで眠っていた。
「言葉たちにも同じことが?まあさっき聞いた感じだと害意は全く無かったから大丈夫だとは思うけど。念の為、状態は確認しておくか。」
『鑑定』
あれ?『鑑定』が使えない。どういう事だ?しょうがない、取り敢えず先に自分のステータスを確認するか。
名前 ツヅリ・ツムギシ
Lv 29
職業 【天の声】
体力 2610
魔力 1450
物攻 870
魔攻 580
物防 1160
魔防 580
固有スキル 『神創真理』『心理求明』
『瞬間模倣』『恋心同帯』
職業スキル 『一方その頃』
通常スキル 『中級剣術』『中級槍術』
『中級杖術』『中級弓術』
『中級短剣術』『中級斧術』
『真偽眼』『索敵』『幻影』
『瞬歩』『剛力』『騎乗』
『超回復』『隠蔽』『魔法剣』
『調合』『斬撃』『武器破壊』
『魔力回復(強)』『五感強化』
『第六感』
魔法 火属性魔法Lv3 水属性魔法Lv3
土属性魔法Lv3 風属性魔法Lv3
無属性魔法Lv5 複合魔法『雷撃』
称号 《転移者》《探求者》《蒐集家》
《観測者》《愛する者》
《jm%d23@あgf》
「な…んだこれ。変わり過ぎだろ。」
あまりにもステータスが変わり過ぎている。スキルの表示形式も変わっているが、何よりずっと空白だった職業の欄が埋まっている。天の声……ナレーションってことか。それで読みはストーリーテラーってことは第三者としての視点を持った職業ってことだよね。詳しい事はこれから少しずつ分かってくるだろうから、取り敢えず今は初めて見るスキルを確認しよう。おそらく名前の感じからして、『神創真理』辺りが『鑑定』と同じ役割だろう。これを使って、
『神創真理』
『神創真理』
『鑑定』が本来の形へと進化したスキル。使用時の脳の処理を肩代わりし、代償なしに際限なく情報を取得出来る。
『心理求明』
『読心術』が進化したスキル。より深くまで心を読むことが出来る。
『恋心同帯』
『一心同体(愛)』が変化したスキル。真に愛する者同士の、スキルや魔法などの使用状態を共有することが出来る。
『一方その頃』
『千里眼』が進化したスキル。指定した対象周辺の様子を距離に関係なく視ることが出来る第三者視点の眼。
凄いな。職業スキルに至っては完全にチート性能だ。用途は幾らでもあるだろう。素直にありがたいスキルだ。
「とまあこんな感じか。それじゃあ改めて二人の状態を確認しよう。」
『神創真理』
名前 コトハ・ユメサキ
Lv 24
職業 【司書】
体力 2400
魔力 1200
物攻 480
魔攻 480
物防 720
魔防 720
固有スキル 『解の魔眼』『術式破壊』『恋心同帯』
職業スキル 『速読』『高速読解』
通常スキル
魔法 火属性魔法Lv6 水属性魔法Lv4
土属性魔法Lv5 風属性魔法Lv6
無属性魔法Lv4 複合魔法『雷撃』
称号 《転移者》《解読者》《愛される者》
《ck8n3と#&》
名前 ティア・アイズ・メルトハート
Lv 6
職業 【姫巫女】
体力 320
魔力 400
物攻 240
魔攻 320
物防 240
魔防 320
固有スキル 『恋心同帯』
職業スキル 『啓示』
通常スキル 『魔素変換』『魔力回復(強)』
『騎乗』『統率』
魔法 火属性魔法Lv2 水属性魔法Lv2
土属性魔法Lv1 風属性魔法Lv2
無属性魔法Lv1
称号 《魔皇女》《愛される者》
おお!言葉たちもしっかりアップデートされてる。これがどんな影響を及ぼすかは分からないけど、間違いなくいい変化だ。どうなるか楽しみだな。
「ふぅ。ステータスの確認も終わったし、暇になったな。ステータスの変化については言葉たちが起きてから話し合うから、今はただ待つだけか。」
何して待とうかな。やっぱりいつも通り寝顔を眺めさせてもらおう。
僕が二人の寝顔を眺め続けて満足した頃、二人は目を覚ました。
「お、目が覚めたみたいだね。言葉、ティア、おはよう。」
「おはよう。……良かった、大丈夫だったんだね。」
「おはようございます。……無事で良かった。」
どうやらだいぶ心配かけたみたいだな。
「うん、僕はなんともないよ。心配させてごめん。二人の方は大丈夫かな?」
「うん、大丈夫。」
「はい、元気です。」
良かった。
「よし、それじゃあステータスの変化について少し話し合おう。皆で寝ちゃったから、もう日が暮れかけてるんだよね。だから今日は外出は諦めようかなって。」
「そう、だね。そうしよっか。」
「私もそれでいいです。」
二人の同意も得られたことだし始めるか。
「今回の現象は結局分からなかったけど、結果としてステータスに変化があった。説明するより見た方が早いから、確認してみて。」
「うん。」
「はい。」
そうして自分のステータスを確認した二人は揃って驚いた顔をした。
「スキル欄がちょっとだけ細かくなってる。私のスキルってこういう分けられ方するんだ。これは綴理くんも一緒なんだよね?」
「うん、というか多分僕のステータス変化に合わせて変化してるよね。」
「気を失う前に聞こえた声の感じだと多分そう。でも、あの声って結局何だったんだろう。」
言葉が不思議そうに言う。それを受けて僕は誰にも言っていなかったことを打ち明ける。
「そのことなんだけど、実はあの声、この世界に召喚された時にも聞いたんだよね。ずっと忘れてたけど、間違いなくその声と同じだった。」
「!…そんなことがあったの?その時はなんて?」
言葉がバッと顔を上げて僕を見つめて聞いた。
そりゃあ驚くよね。いつでも話せるタイミングはあったんだからもっと早く話しておくべきだったな。それは次から気を付けることにして、今は答えないと。
「この時を待ってたって。」
「どういうことだろう?」
「現時点ではそれは分からない。けど、ついさっき目が覚める前に夢の中でその声に話しかけられたんだ。」
「え?」
「早く私の所に来てって。あとは、ずっと見守ってるとも言ってた。全体的に凄く好意的だったから、今回のステータスのアップデートも多分警戒しなくても良さそうだよ。僕の場合は単純に強化されてるだけだしね。」
僕は声の様子を思い出しながらそう言った。大好きだって言われたしなぁ。
「そっか、じゃあ気にしないでおく。それにしても、もしかしたら綴理くんって私が思ってるより凄い人なのかも知れないね。こんなことが出来る存在に何か関係があるってことでしょ?」
「そうなのかな。まぁその辺りはいずれ分かってくる筈だよ。待ってるってことはいつか会えるってことだろうから、その時に直接聞けばいいよ。」
「そうだね。」
そうして僕たちはお互い納得して会話を終えた。……つもりだったんだけど、ずっと黙っていたティアがおずおずと聞いてきた。
「あの、召喚されたというのはどういうことでしょうか。」
あ、そういえば言ってなかったね。ここは先程の反省を活かすチャンスだ。
「あぁ、僕たちは一月半くらい前にこの世界に召喚されたんだ。召喚した人の話によると、この王国が魔王と戦う為の戦力を補う為に勇者召喚をしたみたいだね。何か隠してるみたいだったから、本当のところどうなのか分からないけど。まぁそういう訳で、僕たちはこの世界の人間ではないんだ。」
「そう、なんですね。」
「もっと早く言っておくべきだったかな。」
「いえ、まだ知り合って間もないですし、寧ろそんな大事なことを話していただけて嬉しいです。」
「勿論。ティアはもう僕の大切だからね。隠し事はしたくないんだ。」
「っ!……はい!」
ティアは頬を紅く染めて嬉しそうにそう返事した。気持ちがちゃんと伝わってくれて何よりだ。
「よしじゃあ次はアップデートされたスキルで何が出来るかを考えようと思う。二人は形式が変わっただけだったけど、僕の方は既存のスキルのいくつかの性能が上がってたから。」
そう言って僕は自分のステータスを開いて二人に見せた。
「わっ、なんか色々変わってるね。空欄になってた職業も埋まってる。天の声?……ってどういうことだろう?」
「それは多分、ストーリーテラーって読みから考えると、ナレーターってことじゃないかな。アニメとかでもそう言われるし。」
「そっか、でもそうだとしてどういう能力かピンとこないよね。」
「私はそもそもよく分からない単語だらけで……」
そういう問題もあったな。これからティアには毎回苦労させてしまいそうだ。何か対処法を考えておこう。でも今は、
「ごめん、それについてはその時その時に教えていくから。取り敢えず説明は後でもいいかな。」
ティアには悪いけどこうさせてもらおう。
「はい、私も今はステータスの方が気になりますので。」
良かった。それじゃあ続けよう。
「ありがとう。それで、能力については一つだけ職業スキルがあるからそれを参考にするしかないかな。」
そうして僕は『神創真理』の効果を『恋心同帯』で二人に共有して『一方その頃』の詳細を見せた。
「対象周辺の様子を見れるって、本当にナレーターみたいなスキルだね。これって対象になるのはどんなものなの?」
「そうだね。どうやら僕の知っている物なら対象に出来るみたいだ。」
「そうだとすると、存在さえ知っていればどんなものでも見ることが出来るってことですよね。しかも距離に関係なく。こんなに効果範囲の大きいスキルは初めて見ました。」
ティアは心底驚いた顔をしていた。
「そうなんだ。でもそうか、ここまでのチートスキルがホイホイあってもおかしいよね。これがあれば諜報活動とかもノーリスクで出来てしまうし、一般に溢れていていいスキルではないか。」
「せっかくだし実際に使ってみようよ。このスキルでどこまで出来るのか知りたいから。」
「じゃあ一緒に確認してみようか。」
言葉の提案を受けてスキルを起動した。
『一方その頃』
「対象は何にする?」
そう聞く言葉に対し、僕はずっとしようと思っていたことを実行に移す為に言葉を返した。
「僕たちが召喚された城にしよう。」
「あ!そうだね。ずっと皆と離れてたから私も気になってたんだよね。今までは皆の様子を見る方法が無かったから諦めてたけど、これで出来るようになったんだね。」
そう言う言葉は嬉しそうだ。
「ツヅリさんたち以外にも召喚された人がいるんですか?」
「そうだよ。実は僕たち以外にも沢山の人が召喚されて、僕たちだけそこから追放されたんだよね。」
そこまで気にしていなかったから軽い口調で言ったんだけど、
「え?どうしてですか?」
ティアは驚いて聞き返してきた。
気になるか。
「僕たちはこの国に魔王を倒す為の戦力の名目で召喚されたって言ったよね。僕たちはその時にステータス確認をされて、結果として戦力外と判断されたんだ。それで追放されたんだよね。」
「お二人が戦力外?」
「そうだよ。今では結構強くなったつもりではあるんだけど、召喚されてすぐの僕たちはこの世界の一般人よりも遥かに弱いステータスしかなかったんだ。職業も、保有スキルも戦闘に全く役に立たないものだったから、戦力にならないと思うのは仕方がなかったんじゃないかな。」
「それでも自分たちの都合で召喚して勝手な理由で追放するなんて。」
「ありがとう。でも良いんだよ。僕も…言葉も気にしてないし。それに僕としても信用出来ない人の所にはいたくなかったからね。追放してくれて良かったと思ってる。」
「そうですか。」
「うん。そうじゃなかったらティアとも出逢えなかったしね。」
「ツヅリさん……」
ティアは熱のこもった瞳で僕を見つめた。喜んでくれて何よりだ。この世界の人は結構こういう恥ずかしい台詞や言い回しを好むみたいだから、これからも定期的に言っていこう。
あれ?でも僕、言葉にも同じ様な恥ずかしい台詞言ってる気がするぞ?言葉は日本人のはずだけど、感覚がグローバルなのかな?実際どう思ってるんだろう?
「今ふと思ったんだけど、言葉って僕が普段言ってるちょっとキザったらしい台詞のことどう思ってるの?」
「ふえっ?」
突然聞いたからか言葉はびくっと体を震わせた。
「どうなのかな?」
僕は少し不安になりながらももう一度尋ねた。
すると言葉は、
「心配しなくても大丈夫だよ。私はよく物語を読むでしょ?だからそういう台詞に抵抗ないし、寧ろ憧れがあったりするくらい。だから、いつも綴理くんが言ってくれる言葉が本当に嬉しいんだ。少し恥ずかしいけど、真っ直ぐな気持ちが伝わってきて心があったかくなる。」
「良かった。そうはっきり言ってくれて僕も安心したよ。」
「うん。これからもそうやって伝えてね。私もちゃんと伝え返すから。」
そう言って言葉は花が咲くような笑顔を見せてくれた。
「よしじゃあ気を取り直して、城の勇者達を見てみようか。」
満足した僕は改めて対象を城に決めてスキルを起動する。
『一方その頃』
そろそろ講義が始まる為更新スピードが遅くなると思いますが、出来るだけ早く更新していこうと思いますので、温かい目で読んでいただけると嬉しいです。




