聖賢協力会議
綴理と言葉が追放された後、城では魔王討伐を名目に訓練が開始されていた。
そんな中、一人の少女が一人ずつ割り振られた自室で溜め息をつきながら窓の外の街並みを眺めていた。
「はぁ、今日も訓練かぁ。まだ二日目なのにもう嫌になってきた。」
取り敢えず最低限衣食住は保障されてるけど、他は何一つ自由が無いのはなぁ。特に私は【聖女】なんて大それた職業になっちゃったから、即実戦訓練で他の人より沢山時間取られちゃって食事と睡眠以外に使える時間が無いんだよね。いきなりこの世界に連れてこられてそのまま軟禁状態で、この世界の事は城の中以外一切分からないから、これからの為にも城の外も色々見て回りたいのに。
それに昨日居なくなってしまった彼の事も気になるし。まぁ彼ならなんとかしてるんだろうけど。それでも近くに居るに越した事はないから早く合流したい。
その為には、
「結局訓練して早く外に出れる様になるしかないんだよね。はぁ、しょうがない。今日も頑張ろ。生徒会長は皆のお手本にならないといけないんだし。」
身支度を整えて部屋の外に出ようとした時、誰かがドアをノックした。
「はい。」
「悪いな、今大丈夫か?」
この声は御影君だ。彼は同じく即実戦組だからその辺りで話があるのだろう。
「大丈夫。どうぞ入って。」
「ああ、失礼する。その様子だとちょうど出る所だったみたいだな。引き留める形になってすまない。」
「いいの、気にしないで。それよりどうしたの?今日の訓練の話?」
共通の話題に心当たりが無いから当然の如くその話だと思っていたんだけれど、
「勿論それもあるんだが、追放された彼の事についても少し話したくてな。昨日の内に済ませるつもりだったが生憎昨日はお互い時間が無かったからな。」
全く予想していなかった話題を切り出され、一瞬固まってしまった。
「え。御影君も彼を知ってるの?」
「ああ、以前に少しな。それで、だ。彼の事、どう思う。」
「え、どうって?」
「彼の能力についてだ。彼本来の能力の高さは知っているんだろ?俺達が元々持っている能力や立場にちなんだステータスを獲得している事はなんとなくわかる。なら彼のステータスは俺達と同等かそれ以上でなくてはおかしいと思ってな。」
「確かにそれは私も思った。高いステータスじゃなかったとしても、ハズレ扱いされる程低いなんて事にはならないはず。」
「ああ、だからこう考えてみた。彼のステータスには俺達には判断出来ない隠された何かがあるんじゃないかって。」
「何かって?」
「そこまでは分からない。分からないが、確実に何かあるはずだ。だから今度会った時に確認しようと思っている。」
「彼を探すつもりなの?」
「ああ、神代もそのつもりだと思っていたんだが。追放が決まった時にかなり動揺していた様に見えたからな。それで本来の彼を知っていると判断してこうして話しに来た訳だ。」
「気付かれてたんだ。隠してたつもりだったのに。」
「多分他の奴は気付いてないと思う。いきなりの事で殆どは混乱してたからな。それに俺が主要な人物を特に重点的に観察していたのもあった。普通にしていたら気付かないくらいの変化だ。気にしなくていい。」
「それなら良かった。生徒会長はいつでもしっかりしておかないといけないから。」
「そうだな。だが気負い過ぎるなよ。ここでは生徒会長である事はなんの意味も持たない。皆等しく知らない世界だ。出来ない事があるのが当たり前なんだよ。仲間を頼る事も考えていいんだ。俺で良ければ協力は惜しまない。共通の目的もある訳だしな。」
「ありがとう。じゃあ遠慮なく頼らせてもらおうかな。彼に会う為にも一刻も早く強くならないといけないからね。」
「ああ、宜しく頼む。」
「うん、宜しく。」
「じゃあ次は今日の訓練についてだが、これは訓練場に向かいながらでいいだろう。」
「そうね。行きましょうか。」
こうして協力関係となった二人は共通の目的を掲げ日々の訓練に励んでいく。
次回、実戦訓練。




