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【二章完結】青春ストーリーテラー〜世界を越えて、愛を紡ぐ〜  作者: 夢刻 綴
一章 不遇職のハズレ勇者
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武器購入と実験計画

 賭場から十数分歩き、冒険者ギルド近くの武器屋にやって来た。ここはギルドがすぐ側にあるだけあって、とても良心的なお店だ。初心者でも扱える武器を比較的安めの値段で売っている。資金は用意出来たから、後は自分に合う武器があるかどうかだ。

 まあまずは、


「ごめんください。」


 挨拶をして中に入る。


「おう、いらっしゃい。見たところ初心者向けの武器か?」


 中に入るとすぐにスキンヘッドで雰囲気強めのの店主が出迎えてくれた。見た目の割にとてもフレンドリーで話しやすい人みたいだ。早速相談させてもらおう。


「話が早くて助かります。どういうのがおすすめですかね。」

「そうだな。一番普通のだとロングソードだな。クセがなくて誰でもある程度扱えるから大体の奴はこれから使い始めてるかな。他にも色々あるが、何かこういうのって希望はあるか?」


 そう聞かれ、自分の戦闘スタイルを思い浮かべる。……これでいくか。


「そうですね、ある程度の重さのある短剣とかナイフは有りますか?あまり体が大きくないので身軽さ重視で使いたいんです。」

「そういうタイプか。ならこれだな。」


 そういって刃渡り三十センチ程の短剣が手渡された。これといった特徴の無いシンプルな造りをしている。でも一つ気になった部分があった。


「これ、重心が手元にあるんですね。」

「お、気付いたか。その方があんたにとっちゃ使い勝手は良いだろ?」

「はい、希望通りです。こんなに早く決められるとは思ってませんでした。ありがとうございます。」

「まぁ、これが仕事だからな。何人も相手にしてたら出来るようにもなる。何より冒険に危険はつきものだ。しっかり自分に合った武器を使って万全の状態で臨んで欲しいからな。」


 やっぱりこの店主は良い人だ。今後も何かとお世話になりそうだし名前くらいは聞いておこうかな。


「そういえば名前をまだ聞いていませんでしたね。教えていただいてもいいですか?」

「おう、俺はグラートだ。あんたは?」

「僕はツヅリといいます。こっちの彼女はコトハです。」

「ツヅリとコトハだな。ところでこういうの聞くのもなんだけど、二人はその、あれなのか?」


 お!意外とそういうこと気になるタイプなんだ。まあ、隠すことでもないからいいよね。


「あはは、お察しの通りです。彼女と一緒に冒険者をやってるんです。今日は彼女の武器も一緒に買うつもりで来ました。」

「そうなのか。じゃあそっちの彼女の分も選ばないといけないな。どんなのがいい?」

「言葉、どうする?基本的には僕が戦うけど、もしもの時用に何か持ってた方がいいと思うんだよね。」

「そうだね、何か瞬時に使える道具みたいな物があったら良いんだけど。」

「護身用ならこれとかどうだ?一定範囲内の相手を麻痺させるやつだ。これなら投げつけるだけで使える。」

「良いですね。小さくて持ち歩きもしやすそうですし。五つ買います。」

「毎度あり。他は何かあるか?」

「大体いい感じですね。会計お願いします。」

「おう、短剣が十五万と痺れ玉五つで三万、合計で十八万てとこだな。玉の方は持ち運び用のポーチもつけておく。」

「ありがとうございます。えっと、金貨一枚に大銀貨八枚ですね。」

「おう、ちょうどだ。二人とも頑張れよ。また武器が必要になったらいつでも来い。そんときはまた選んでやる。」

「「はい、よろしくお願いします。」」


 こうして僕たちは二人で武器屋を後にした。



 宿屋の部屋に帰ってお風呂と食事を済ませ、後は寝るだけになった。


「今日は色々初めての事が多かったな。」

「うん、最初はいきなり賭け事とか不安だったけど、終わってみれば何も問題無かったね。無事に武器も買えたし。」

「それについてはごめん、手っ取り早く稼ぎたかったから。ちょっと強引な手段だったとは思ってる。」

「良いんだよ。綴理くんが動いてくれてるおかげで私も生活出来てるんだし。私一人だったら何も動けないから。本当に感謝してるよ。ありがとう。」


 そういって言葉は笑いかけてくれた。それだけで、全部が報われた様な気がした。


「そう思ってくれたなら嬉しいよ。明日からも頑張れそうだ。」

「うん、頼りにしてるよ。でも、私も何か出来ることがあったら良いんだけど。」

「あ、それだったら一つ実験に付き合ってくれないかな?」

「実験?」

「うん。スキルについて考えてるうちに、ちょっと気になった事があってね。僕のスキルが既存の枠にはまらない特異なものだって話は昼にしたよね?それと同じ様に言葉の持つスキルも特別な効果があるかもって。」

「そういえば最初に二人で確認してからずっと使ってなかったね。でも本当にそんな凄いスキルなのかなぁ?綴理くんはなんでそう思うの?」

「根拠としては確実じゃないけどステータスの形式が同じことかな。基本ステータスが軒並み低くて一見使えないスキルがあって、称号に文字化けしたものがある。これらの共通点があって、特に称号の部分はどう考えても異常だ。この特徴が被ることは普通じゃありえない。だから僕らのステータスは同じタイプで、そもそも既存のステータスとは別枠のものじゃないかと思ってる。もしそうなら僕のスキルが資料に無かったのも頷ける。あともう一つそのスキルに関することだけど、言葉のスキルも資料に無かったんだよ。これも証拠の一つとしていいと思う。そういう訳で、言葉のスキルには可能性が秘められてると思うんだ。」

「そこまで考えてたんだ。でもそう言われると何かありそうだね。」

「うん、もし予想通りなら大幅な戦力アップにもなるかも知れないし、間違いなく僕たちの未来は明るくなる。だから明日はその実験がしたい。いいかな、言葉?」

「いいよ、やってみよう。上手くいけば私も綴理くんの役に立てるし。」

「よし、じゃあ明日に備えてもう寝よっか。」

「うん、寒いから今日もくっついていい?」

「もちろん。僕からもお願いするよ。言葉の体温を感じてると安心して眠れるから。」

「じゃあ決まりだね。おやすみなさい、綴理くん。」

「おやすみ、言葉。」


 やっぱりこうして一緒に寝るのが一番だ。隣に愛する人が居てくれるだけでこんなにも気持ちが安らぐ。本当に感謝だな。


「愛してる、言葉。」



 すぐ隣から綴理くんの声が聞こえてきた。その声の方を向くともう既に彼は寝息をたてていた。その寝顔を眺めながら今日一日を振り返る。

 最初はびっくりしたけど、本当に色々考えて頑張ってくれたなぁ。賭け事でも全部勝っちゃうし、武器選びも事前にお店を探しておいてくれて真剣に選んでくれたし。


 この世界に来てから頼りっぱなしだ。明日の実験で何か出来ることが増えたら良いんだけど。そうしたらもっと綴理くんに楽をさせてあげられる。この世界に来る前からずっと返したかった恩を返せる。だから、明日は上手くいきますように。

 いつも本当に感謝してるよ、綴理くん。

 その気持ちを込めて、


「ありがとう。私も、愛してるよ。」


 最後に彼の頬にそっとキスをして、私は眠りについた。

次回、戦力強化開始。

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