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はじめての魔法

 目を覚まして初めに見たものはおじさんの顔だった。

「相当疲れてたみたいだな。ぐっすり寝てたぞ」

 異世界に転生して何も知らないとこに来たら疲れないはずがない。当たり前だ。

「寝顔けっこう可愛かったぞ……」

 赤面するおじさん。

「えっ……」

 思わず変な声が出てしまった。

「声も意外とかわいいじゃねえか……デュフフフフ……」

「……」

 これにはどう返すのが正解なのか分からないまま途方に暮れているとおじさんが朝食を用意してくれた。

「これ食って元気だせ」

 おじさんのやさしさが身に染みる。ありがたく食事をいただくことにした。

「あんたは転生してきたんだよな??」

 おじさんの質問にうなづく。

「やっぱりな。その猫耳は転生者の猫耳だったんだな」

「えっ」

 慌てて頭を触ってみるとモフモフしたものがあることに気づいた。

「安心しろ。猫耳があるのはおまえだけじゃないぞ」

 そういう問題ではないと思うが話を聞き続けることにした。

「やっぱり猫耳は可愛いよなぁ。猫耳には男のロマンが詰まってると思うのは俺だけか?世の中の男は猫耳大好きだよな。猫耳触りたいよなぁ……」

 猫耳について突然熱く語りだしたおじさんにしばらく圧倒されているとおじさんが僕の猫耳を触り始めた。

「猫耳は最高だぜ!!この触り心地はたまらん!!癒されるぅ……」

 おじさんが猫耳を堪能したあとこの世界についていろいろ教えてもらった。

 おじさんの話をまとめると、猫耳をもつ種族と転生者は異なる種族であること、そのほかにもエルフ、ドワーフ、オークなど様々な種族がこの世界に存在すること、転生者はそこまで珍しい存在ではないということ、魔法は存在するが必ず使えるとは限らないということ、転生者は例外なく魔法を使っているということ、凶悪な魔物が存在するので町の外に出るときは武器を持たないと危険であること、金を稼ぐ手段は、商売をする、冒険者や用心棒をして戦うことで給料をもらう、野菜などを育ててそれを売る、武器を作るなどがあるということを教えてもらった。

 だが僕はこの世界にきた実感があまりなかった。それを感じ取ってくれたおじさんは優しく僕にこう問いかけた。

「これからおまえはどうするんだ?あてがなければここで働くか?」

 これからどうするかを何も考えていなかった僕はとりあえずうなずいた。

「そういえばおまえの名をまだ聞いていなかったな。俺はジョンソン。よろしく」

「……」

 名前か……いつから使っていないのだろうか?名前で呼ばれたのは何年前だっただろう?

 そんな風に考えているとおじさんが口を開いた。

「もしかして名前を忘れたのか?」

 もうあの名前を使うつもりはないので黙ってうなづく。

「俺が名前を付けてやる。今からおまえの名は……」

 しばらく考えたあと僕の名前は――ソラ――に決まった。その日の天気は満点の青空だった。

「ソラはどんな魔法を使えるんだ?」

「……」

 魔法など一度も使ったことのない僕はその質問に答えることはできなかった。

「俺は魔法が使えないから魔法に詳しい知り合いを呼んでくる」

 おじさんはそう言うとどこかへ出かけてしまった。

 一人で部屋に残された僕は深く深呼吸して気持ちを落ち着かせることにした。

 気持ちを落ち着かせようとしていると部屋をノックする音が聞こえる。

「どうぞ」

 おじさんと若いお兄さんが入ってきた。

「君がソラくんだね。初めまして」

「初めまして」

「外で魔法を使ってみようか」

 お兄さんに誘導されるがままに外に出て魔法の指導を受ける。

「まず水魔法を使えるか試してみようか?水をイメージして近くに出す感じでやってみて。水に関するワードを口に出すとやりやすいよ」

 水、水、水、水、水、水……水をイメージして呪いの言葉のように連呼すると水が大量に勢いよく猫耳から放出される。

「ストップ!ストップ!!びしょびしょだよ!!」

 慌てて水のイメージと連呼をやめると水は止まったがあたり一面に水たまりができていた。

 着替えたあと、ほかの魔法も試してみたが威力が強すぎたようだ。お兄さんはストップと叫びすぎて疲れてしまったのでまた今度魔法を教えてもらうことになった。

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