閉ざされた心
昔の自分に会うために森の奥にあるが、日の当たる場所にある工場に向かった。
僕は誰にも見つからないようにひっそりと歩いている。
昔の自分――この世界で僕がなるはずだった存在――に会える確信はなかったが転生前の記憶を信じて工場を目指し歩く。
森の中を歩いていると開けた場所が見えてきた。そこの地面は土ではなくプラスチックのような地面だった。その中央には目的の工場と思われる建物があった。
プラスチックの地面に踏み入れると警報が鳴った。
「侵入者発見!侵入者発見!侵入者発見!侵入者発見!……」
警報が鳴り響くと同時に逃げ出そうとしたが退路はすでに断たれていた。
後ろから迫る壁からは逃げ道が存在しない。
慌てて火魔法を放つが全く効いていない。
僕はあっという間に閉じ込められてしまった。
だが、僕にとってはこの方が好都合だった。なぜなら、閉じ込められるということは工場の鍵を開けることなく中に入れるからだ。
工場の中の僕が閉じ込められた部屋は金属製の扉がコンピュータで制御されている部屋だった。
僕はこの部屋から今すぐに出る術がないことを悟った。魔法も使えない、扉も開かない、壁も破れない、といった状況なので僕はこの狭い部屋から出られない。
だから僕は時間が来るまで休んで待つことにした。