【世話焼き係】
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世話焼き係
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あなたが一番分かっていると思うけど。
私は ”世話焼き係” です。
性格が”世話焼き”なのではなくて、ただただ女性陣の中で年長者であり、それに伴って勤続年数が長いが故に、自然と割り振られた”世話焼き係”という役割。
もちろん性格によるところも大きいとは思いますけどね。
だから新入社員の小さくて多様な問題を、多忙な上司の代わりに対応することになるのは自然のことです。
会社にとっても、部課長格にしょうもないことで時間を取らせない為にも、必要な役割だと思います。
これはオオカミくんに限らずに、あなたの先輩の時もそうでしたし、あなたの後輩の時もそうだったことを、あなたは知っていると思います。
18年前のソフトの使い方を教えたり、
上司やお客様に提出する書類の事前チェックをしたり、
15年も前の昔の資料探しを手伝ったり、
机周りや作業した後の散らかしを片付けたり、
外出中に発生した急ぎの書類を見よう見まねで用意して、市内まで届けたり、
忘れ物を取りに行ってる間の架空のアリバイを作ったり。
わたしの経験値で対応できることは惜しまず、協力してきました。
愚痴があれば、話を聴いて、なだめたり、すかしたり。
お腹が空いたら、おやつをあげたり、
一人暮らしをするからと、実家にあった未使用の家電を提供したり、
金欠になったら、乾麺や調味料を差し入れしたり、時にはお金も貸したり。
わたしの持ちうる愛情は惜しまず、注いでいました。(むしろセーブ気味で。)
あなたの怒りも喜びも、正面から受け止めようとしました。
それが”世話焼き係”の務めだと思っていました。
出し惜しみしなかっただけなんですけどね。
それに伴い、一層頼られることが多くなり、
それに伴い、会話が増えて、
それに伴い、関わりが深くなって、
そうして特別なものに変わっていきました。
いつしか、あなたは大事な人になりました。