【二人の時間】
* * *
二人の時間
* * *
焼肉のとき――本当は二人で行きたかったな。
あの日、空気を読まないおっちゃんが付いてきちゃったもんね。
”空気を読めない”のではなく、『僕は、そういうのあえて”読まない”んで。自分がどうしたいかを優先するんで』と、後日言ってたそうです。つまり、わたしの思いを察していたようで、余計釈然としませんでした。
ただその時は、わたしも”二人だけ”で行くことに気がひける気持ちもあって、ちょっとホッとした自分がいたのも事実なんですけどね。
だけど、実際に三人で行ってみると、二人の時とは、やっぱり全然ちがう空気で、話したかったことも話せなくて、聴きたかったことも聴けなくて――。
せっかくの貴重な機会に非常に残念な失敗をしてしまったなと気づきました。そのことは、今になっても後悔しています。
会計の時も、”オオカミ君にご馳走になる”格好で行ってるのに、おっちゃんもある程度出してくれることになり、
(わたし、この邪魔者だったおっちゃんにご馳走になる(借りを作る)気は無いのに、お礼も言わなあかんのんかいな)
と、ご馳走になっておいて、こんなことを思う自分にも複雑な気持ちになってしまい、とても後味の悪い思い出となりました。
傍目を気にせずに、
「二人で話したいことあるから、遠慮して~。オオカミ君と飲みたいなら、別で誘ってあげて!」
と軽く言えば良かったなって、本当に何度も後悔しました。
でも、そのことがあって、二人の時に話してくれるオオカミ君との時間が、とても貴重な時間であることに改めて気づきました。
(オオカミ君と過ごす、そんな時間は、今後、どんどん減っていくんやな)って。
いずれ会社を辞めるであろうこともわかっていましたから。
* * *
そこからは特に、二人で話す機会があれば、大事にしていました。
――本当にそんな時間は失われてしまいましたね。(でも、それでいいんです)




