【前文】
拝啓 オオカミ君。
ご無沙汰してます。こちら古狸です。
もうじき桜の季節ですね。
季節の変わり目で寒かったり暖かかったりの毎日ですが、オオカミ君はお元気でいらっしゃいますか?
私は、そこそこ元気でやっております。
早いもので、オオカミ君が退職してから、1年が経とうとしています。
最近あなたのことをよく思い出しています。
大きな出来事も、小さな出来事も。
嬉しかったことも、悲しかったことも。
鮮明だった記憶も、近頃細かい記憶は、ぼんやりとしてきました。
リアルにあった毎日が、だんだんと懐かしいものになろうとしています。
これが【思い出】というやつでしょうか。
これから、じわじわと色んなことを忘れていってしまうのでしょうね。
しょうもないことはもちろん、大事な思い出でさえも、そのうち順番に忘れていってしまうのでしょうか。
そんなことに考えが至ると、なんだかコワくなりました。
そこで本当に忘れてしまう前に、【手紙】というカタチにして残すことを思いつきました。
手前の勝手な想いから届けています。
気が向いて、お時間ある時にでも、私の思い出話にお付き合い頂けましたら幸いです。
「お時間ある時にでも」……なんて書いたら、あなたはずっと読まないかもしれませんね。