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僕と彼女の秘密

「はぁ…クソ教師…説教長すぎだよ…」

やっと開放された僕は教室へ鞄を取りに行った。「皆先帰っちゃのかな」

薄情者め! 

自分の席の横にかけてある鞄を持ち教室を出ようとした時隣の神坂さんの机に一冊のノートがあることに気づく。

「忘れ物かな…?」

いつも彼女が持ち歩いている物だろう。

だったら届けてあげた方がいいかもしれない。


ノートに手を伸ばすと開いていた窓からブワッと風が吹いた。

その瞬間開いたノートを見た僕は絶句した。


は?

ノートに描かれていたのは上半身裸の僕。

ぴょこんと跳ねた特徴的なアホ毛に

小柄な身体。うん…僕だ…。

隣に書かれているのは…翔太?

細身だが長身で筋肉はついていて

顔はイケメン。

ノートの中の僕らしき人物と抱き合っている。

(どちらも半裸)

断言出来る…これは僕らだ。


このノートが僕の天使神坂さん

の物であるはずがない!!。

見間違いだ。見間違い…見間違いですよね…。

神坂さんのものだなんて信じたくない。


パタンとノートを閉じ確認のためもう一度…

自分で開ける。

今度のページは光と海?

無言でノートを閉じる。

見なかった、僕は何も見てない。

神坂さんが腐女子なんて信じない。


でも今はとても叫びたい…

叫ばずにはいられない気分だ…

すぅっ…

ぎゃぁぁあっぁあぁァァああぁ!!!!

あの澄んだ瞳で僕らをボーイズラブ目的で見てたの!?

僕の天使は腐女子なの!?

よりによって僕が翔太となの!?


………つらい…。


がっくりと肩を落とす僕の耳に

コツコツと足音が聞こえてきた。

段々足音が大きくなって近づいてくるのが分かる。

…こんな時間に誰だろう?

神坂さんだったら確実に終わる。

美少女とドキドキ♥学園生活が一瞬で終わる。

いやまぁ…違う意味でドキドキなんだけど。


「誰かいるのか?」

神坂さんの声じゃない…野太い声…

セーフ!

顔を覗かせたのは先生だった。

しかしこいつは僕を説教してた教師じゃないか!

まだ帰ってなかったのかって言われそうだけど

我慢しよう。

「あ、月島です。」

正直に名乗り出る僕。

またお前か問題児とでも言いたげな顔…

僕だってまたお前かクソ教師って言いたいところだ!

「クソ教師って声に出てるぞまた説教されたいのか?」

むさ苦しい教師の顔に血管が浮かぶ。

あ…余計なこと言った…。

ゆっくりとノートを最初の位置に戻し

息を吸って一目散に教室を飛び出る。

「ふざけてんのかァァァァあぁ!!!」

不意をついて逃げ出すことに成功した。


追いかけてくる教師を相手に

死に物狂いでパルクールを駆使して逃げる。

こういうスキルを磨いておいて助かった。

学生寮に飛び込むと教師は追いかけて

来ることは出来なくなる。

ホッとして自室へ入る。


この学校の生徒は全員が寮生活。

僕は翔太と光と海と同室。

教室でも合うのに寮でも一緒なんて…。

さっきの(信じたくないけど多分神坂さんの)ノートを見たあとの僕にはこいつらの顔を見ると苛立ちと吐き気、嫌悪感の症状が出そうだ…。

うっぷ…気持ち悪い…。


四人部屋に問題児が集められているなんて

事を聞くけど信じたくない。

週三回は教師に追いかけられてるけど

こいつらだって週三回は当たり前に

追いかけられている。

しかしなんだかんだで美形ではあるから

女の子に追いかけられていることも多い。

ストーカー化する子も居るらしい。

あっ、ここにも盗聴器…グシャッ。


「どしたの?拓真顔色悪くね?」

最初に気づいたのは光だ。

長年一緒の部屋にいれば

こういう事には敏感になる。


運良く告白された日なんかには

誰に告白されたとか、

どんな方法だったとか、

どこに呼び出されたのか、

すべて吐くまで寝かせてくれない。

自分たちの事は上手く隠すくせに…。


本人談によると光と海は学校の情報を

取り仕切っているらしく

防犯カメラを乗っ取って

情報を占拠することは簡単らしい。


「告白じゃないね…じゃあどうでもいいわ」

「僕達これから風呂行くんだけど拓真も来る?」

「あ、うん、僕も行く」

「翔太は?」

「俺さっき部屋でシャワー浴びたんだけど…

まぁいいや、行くからちょい待って」


数分で準備を済ませ寮の上に

張り込んでいた三人のファン…

もといストーカー共の意識を奪い

やっと風呂に入るという手間がかかるが

毎日のことなので習慣化しているのが怖いところだ。


「そういえば沙織は良いよなぁ…

合法的に健全な女の子と風呂だぜ?

今日だって一人だけ神坂さんの

連絡先貰った上で俺達に教えてくれねぇし…」

ほんと羨ましい…

覗きに来る奴らじゃない

まともな子だけの風呂とか…

と翔太がつぶやく。

「いや沙織ちゃんは自室で一人風呂だよ

教師も危険と判断して強制的に」

なんでそんなこと知ってるの?という

ツッコミはしないが

日頃の行いが悪いせいだろう。

相応しい天罰だ。

「え、まじかよ。ざまぁ」

「連絡先貰っても連絡しないから

意味ないけど貰うまでが楽しいよね」

今までも光と海は女の子の連絡先が

欲しいとは言っていたが

連絡しているなんてところは見たことがない。


前までは神坂さんの連絡先を知りたいとか

言ってたけど今日の僕はそういう気分ではない。

というかよく分からないで

凄いし可愛いからファンだっただけで

あんな趣味を知っていしまった以上

ファンで居られるのかさえ怪しい。


でも態度が変わったら

ノートを見たことを感づかれる可能性もある…。

悩みどころだ。

まぁ可愛いからファンでいる

つもりではあるけど

翔太とホモみたいに扱われるのはごめんだ。


明日合うの怖いなぁ…。

というか僕結構顔に出るタイプだし…

頭パンクして発狂しそうだ。


僕の周りは美少女の皮を被った変態狂人と多分腐女子の神坂さんとむさ苦しい男共くらいしかいない…あ、待てよ。今日来てなかった反対隣の席ってあいつだった気が…。


変人しかいないクラスにやっと希望の光が見えて来た。可愛いし優しいし良い子なんだよなぁ…ささきち。


「おい拓真一人百面相って楽しいのか?もう出るぞ」

「百面相なんてしてないよ」

「してたよ」

「無意識なの?すぐ顔に出るよね」

む、そんなことない!

僕はただ明日神坂さんと合うのが怖いだけ…というか今百面相してたとしたら隠しきれるのか!?あれ…なんか不安になってきた…。







その頃織田沙織は

くしゅん…

誰か噂してるな…?

それより和泉たんに連絡しよーっと!

ぶくぶくと浴槽に沈んで温まったので

着替えて自分のベットにダイブ。

するとドアが開いて

「沙織ちゃん…もうお風呂出た?」

小さな声が耳に入り可愛い同居人が

風呂から帰ってきたことを知らせる。

「おっかえりー!ほっぺた真っ赤だよ?

飲みたい物あったらいれるから言ってね」

「じゃあ緑茶飲みたいなぁ…」

「了解!ちょっと待っててね!」


甲斐甲斐しく同居人の世話をしていた。





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