警告文の送り主
同日、午前8時前。櫻田は東間と一緒に登校し、既に学校内に入っていた。二人は自分達の教室
に荷物を置いた後、すぐにS組の教室へと足を運ぶ。S組には木崎と宮間がいたが、彼らに用事が
あるわけではなく、教室内をこっそり覗いて誰かを探している様子だった。その誰かとは、最近
彼女達に交流を持っている人物で木崎達と同じS組の女子生徒・佐木愛のことである。
事の発端は昨日の佐木との会話を櫻田が彼女に話したのがきっかけだった。最初は二人で一緒に
テスト勉強しようと誘ってきたが、櫻田から宮間と勉強会をすると聞き、佐木も勉強会に参加した
いと言い出したこと。彼女が宮間の話が出ると目の色を変えたことから、佐木は宮間に好意を持っ
ているのでは?と稲井から指摘されたことから、東間は佐木本人に直接聞き出そうと昨日の放課後
にS組を訪れるも彼女は既に帰った後。そして今日、二人は学校へ来てすぐに佐木のクラスを訪れ
たわけである。まさか寝坊してまだ学校へ来ていないことなど知らずにずっと櫻田と東間はぎりぎ
りまで待ち続けるも・・・。
「東間、戻ろう。もしかしたら休みかもしれない」
「あぁ・・・そうだな。今日のところはこれぐらいで勘弁してやるか」
これ以上ここで彼女を待ち続けるわけにもいかず、櫻田と東間は諦めて自分達の教室へ戻って
行った。その後、佐木は自分の下駄箱に入っていた警告文を読み、それをビリビリに破いて封筒
に入れ、自分の教室のゴミ箱に捨てたのだった。まさか、そのゴミとして捨てたはずの封筒が
なくなるなんてことも知らずに・・・。
警告文を処分するも恐怖が完全に消えることはなく、佐木はその日の昼休みに屋上で一人
昼食を取りながら今朝のことを考えていた。なぜ自分の下駄箱にあんなものが置かれていたのか
を・・・。警告文には『これ以上、彼女に関わるのはやめろ。警告を無視した場合、佐木愛の
本性を同級生のY・Mに全てばらす。』と書かれていた。もしかしたら、この彼女というのは、
櫻田柳のことで、彼女の知人が自分の下駄箱にこの警告文が入った封筒を置いたのではないか
と佐木は推理する。だが、そんなことをして送り主に何のメリットがあるのかと疑問に思うが、
文の最後の『同級生のY・M』は彼女が好意を持つ宮間結斗のことであるのは間違いないと断言
できる。佐木は何としてもこの警告文を送った犯人を突き止める必要があると、このことを教師
に報告することなく、自分自身で調査すると心に決めたのであった。けれど、その前に今しなけ
ればいけないのは、中間考査のテスト勉強。本当なら櫻田の了承を得て宮間と仲良くテスト勉強
する魂胆だったが、予想外の展開により予定を変更せざるを得ない状況になってしまった。
いったい誰が何のために佐木愛に警告文を送ったのか、それはまだ謎のままである。




