S組
特進クラスS組は初等部から上がってきた生徒(ようするにお金持ち)が多いが、木崎や宮間のよう
に中等部・高等部から入ってきた生徒もいる。
「宮間君、木崎君、おはよう」
「おはよう。佐木さん」
彼らに話しかけたのは、同じクラスの佐木愛。宮間と同じ中学受験で双見へ入学
し、S組歴5年目(中等部一年から高等部二年まで)。
「宮間君って木崎君と仲良いよね」
「あぁ。俺達、小学校からの付き合いなんだ」
「へぇ~そうなんだ。だから、仲良しなんだね」
「いや、別に仲良しというほどじゃないよ」
「おい、何照れてんだよ」
「照れてなんかない。恥ずかしいんだ」
「それを照れてるって言うんだよっ。このツンデレ眼鏡」
「…木崎。今日、小テストあること忘れてないか?」
「はっ、小テスト………あっ!?」
木崎は宮間に言われて思い出す。今日は午前から担任教科の小テストが行われることに。
「結斗、何ページだっけ?」
「今から覚える気か?かなりの量だぞ?」
小テストの範囲がかなり多いので、今から覚えるとしても間に合うわけがないと宮間は思っていた。
だが、この木崎は高校入試の際に全く勉強していなかったにも関わらず、クラスはB組になったという
恐ろしい男。後にCとDにはなりたくなかったからという理由が判明したが、勉強していなかった話は
事実である。
「いいから教えてくれよっ!なんとかするからさ」
「仕方ないな…」
「なんか大変そうだね。私、手伝おうか?」
佐木が宮間の助太刀の声を掛ける。だが、宮間は「大丈夫。こいつの相手は俺がするから」と
言って断り、木崎の席へと向かってしまった。
「…なんか、悔しい」
佐木は宮間の力になりたいと思っていた。だが、それは彼にとっては迷惑なことだったのかもしれ
ない。けれど、なんだか自分が木崎に負けたような感じがしてとても悔しい気持ちになる。これは、
嫉妬なのだろうか?それとも…。
「断られちゃったね」
佐木の心の中がもやもやしていると、一人の男子生徒が声を掛ける。
「あぁ…うん」
「こいつの相手は俺がする…とか、かっこつけちゃって」
彼は荒矢谷浩太。佐木と同じ小学校出身で中学受験で双見へ入学した。
ある理由から宮間をライバル視しているが、宮間本人は気づいていない。
「でも…なんか安心した。彼にもあんな一面があったなんて」
同じ中学受験で入学してクラスメイトとして彼のことを見てきたが、木崎と話している宮間の姿を
間近で見ることは滅多になかった。なので佐木の目からは木崎と話している宮間が新鮮だったのだ。
「さてと。私も小テストの勉強しようかな」
「あっ、じゃあ…一緒にやる?少しの間だけ」
「うん、いいよ」
その後の小テストの結果は、昼休みに届けられた。宮間は満点を取り、木崎は…即日勉強だったの
に彼と同じ満点を取って宮間を驚かせたのだった。




