表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕のキャラが崩壊します!!  作者: さくら
Ⅰ・新生活と新たな友人?
4/75

宮間結斗


 翌朝。いつも通りに学校に行き教室に入ると、そこには木崎の姿があった。


 「おっ、やっと来た」

 木崎は櫻田の席に座って待っていた。 

 それを見た櫻田は、どうして朝から彼がここにいるのかと低血圧でまだ

 眠たい目をごしごしこすりながら考える。


 そして、これは夢ではないかと両手で思いっきりバンッ!と叩いてみる。

 「いっ…いたい」

 

 「お前なにやってんだよ、朝っぱらから」と櫻田の元へと歩み寄る木崎。

 櫻田は木崎を見て、いったい誰のせいだと思ってるんだよ。と内心怒りを

 覚えていた。するとそれを勘違いしたのか「そんなじっと見んなよ」と

 櫻田から目を逸らしてしまう。


 「あっ。ごっ、ごめんなさい。気持ち悪いですよね」

 櫻田は無意識に木崎の目を見つめていたことに気が付き、あわてて

 彼に謝罪する。すると木崎は「違う。そうじゃねぇよ」と言ってすぐさま

 誤解を解く。

 

 「あんまり人の目とか見れねぇんだよ。恥ずかしいだろっ」

 「…あっ。そうでしたか」

 

 とてもそんなふうには思えなかったが、彼も自分のように人見知りなのかも

 しれないと櫻田は思った。


 人は見かけによらないとは、まさにこのことだ。

 


 「それで…何かご用ですか?」

 「あぁ。お前お昼とかって誰かと食ったりしてんの?」

 

 「…いません。いつも、一人なので」

 「なんだ、ぼっちか」

 

 ぼっち、とは一人ぼっちのことである。

 しかし、本人を目の前にしてこれほどはっきりと言われてしまった

 櫻田の心は見事にぐさっと刺され、見えない深い傷を負い、それと同時に

 殺意が芽生えた。

 

 「それなら昼飯一緒に食おうぜ」

 「えっ?」

 「お前に会わせてぇ奴がいんだよ。昼休みに迎えにくっから」

 「そっ、そんな…急にっ」

 「じゃあ、また昼休みな。地味子」と木崎は櫻田の言葉も聞かずにC組の

 教室を出て行った。


 「…どうしよう」

 


 そして、昼休みに入ってすぐに木崎がC組を訪れた。

 断ろうにも断りきれず、渋々と弁当を持って彼の後ろを付いて行った。


 到着したのは、S組の教室。

 どうやら会わせたい人というのは、昨日言っていたS組の友達らしい。

 「呼んで来るからここで待ってろ」と木崎はS組の教室へと堂々と入って

 行った。


 今なら逃げられる。でもそんな勇気、彼女にはなかった。

 後の仕返しが怖かったからだ。されるかどうかも分からないが、嫌と言うほど

 想像してしまう。ようするに、櫻田は被害妄想ひがいもうそうが激しい

 タイプなのである。


 そう考えていると「地味子」と声をかけられ「はいっ!?」と大声をあげて

 しまう櫻田に、近くにいた生徒が驚いて彼女を見る。


 「あっ…すっ、すみません」

 変に注目されて恥ずかしい思いを隠せずにいると、木崎はすぐさま隣にいる

 黒髪の男子生徒を彼女に紹介し始めた。


 「地味子、紹介するよ。こいつが、昨日話した宮間結斗みやまゆうと

 俺とはガキの頃からの付き合いなんだ」


 宮間という男子生徒は、木崎とは違って礼儀正しいイメージ。

 それを強調するのは、黒髪に黒縁メガネでS組ということもあるが

 外見から見ても頭の良い人だと分かってしまう。背も木崎とはそんなに

 変わらないが、それでもやはりこの人も怖いと思ってしまう櫻田。


 そんな木崎が宮間に櫻田を紹介する際に「で、こいつが地味子」と

 フルネームですらもない、しかも勝手に付けられたあだ名で紹介され

 櫻田はさすがに文句を言おうかと彼に「あのぼっ…」と言いかけた時だ

 った。


 「木崎、わざとボケるのはやめろ。彼女に失礼だろ」

 櫻田が言う前に宮間に先手を打たれた。

 それを聞いた木崎は、宮間に「あははっ、悪い悪い」と彼女ではなく彼に

 謝罪をする。


 「謝るのは俺じゃない。彼女の方だろ」

 それはまるで心を読まれているかのように感じた。

 もしかして、頭の良い人はエスパーなのかもしれないと櫻田は思った。


 「あぁ…その、悪かったな。地味子」

 「…いえ。別に」

 試しに目を木崎と目を逸らすと、それを見ていた宮間が「木崎、もっと

 ちゃんと謝れ」と木崎に謝罪のやり直しを申し立てた。


 「ごっ、ごめんなさい」

 やっぱり、エスパーなのかもしれない。

 櫻田は偶然かもしれないけれど、宮間をエスパーだと勝手に思い込んだ。

 

 「友人が失礼なことを言ってしまい、申し訳ない。本人もこの通り反省

 しているので、どうか許してやってほしい」

 「あっ…いや。ぼっ…私は大丈夫ですから」

 

 「今、僕って言おうとしただろ?」

 「ちっ、違いまっ「木崎、お前は少し黙ってろ」

 「…ちっ」

 木崎は舌打ちをして機嫌悪そうに口を閉ざした。


 「木崎の言っていることは気にしなくていい」

 「あっ…はい」

 「木崎から話は聞いているが、名前までは聞いてないんだ。さっきの地味子

 というのは明らかに名前ではないと断言できる」

 

 断言出来たらそれはそれで勘弁してほしいというか、貴方は本当に頭が良い

 のかを疑うよ。と櫻田は心の中で突っ込みを入れる。

 現実にそんなこと言ったら失礼な人間だと思われるので、行動には決して

 移さない。

 

 櫻田は彼にちゃんとした自己紹介をする。

 「わっ、私は一年C組の櫻田柳と言います。よっ、よろしくお願いします」

 「一年S組、宮間結斗だ。よろしく、櫻田さん」

 

 宮間は自分から改めて自己紹介すると、櫻田に右手を差し出されて

 一瞬戸惑うも彼女もゆっくりと右手を出して軽く握手を交わしたのだった。

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ