球技大会開催、第一試合!is山戸川高校
今日は待ちに待った球技大会第1日目。
今日明日と、本戦出場をかけた予選日だ。
各クラスごとに、気合いの入り方が違う。
午前8時30分、開会式が始まり、校長の有り難くも長ーい話が終わるといよいよ第一試合の試合開始時刻になった。
第一試合の試合開始時刻は、午前9時からとなっている。
尚、試合時間は前半後半20分ずつとなっている。
1年生の試合会場は、男女毎に2つ、2年生の試合会場は、男女毎に1つ、3年生の試合会場も、男女毎に1つとなっている。
尚、全学年共にメイングラウンドにて、試合が行われる。
山戸川高校のメイングラウンドの広さは、東京ドームが約2つ分入る広さだ。
1年生の第一試合は、1年2組男子VS1年5組男子、1年4組男子VS1年3組男子、1年1組女子VS1年6組女子、1年3組女子VS1年5組女子の試合が、2年生の第一試合は、2年1組男子VS2年4組男子、2年1組女子VS2年2組女子の試合が、3年生の第一試合は、3年5組男子VS3年6組男子、3年1組女子VS3年3組女子の試合が行われる。
1年生の試合会場にて。
1年生の試合が始まろうとしていた。
1年2組男子VS1年5組男子の試合会場では1年2組の実質的なキャプテンを務めるFWの榊蒼と同じFWの鳥桧勝が言い争っていた。
それ以外のクラスメイトは、いつもの事なので、気にせずに準備運動やフォーメーションの確認をしていた。
「だから、俺が言いたいのは、どっちかがFWからMFをやらなきゃいけないからお前がやれって言ってんだよ!」
「なんでなんだよ! そっちがやればいいだろ!」
「何回言ったら分かんだよ! 俺より、お前の方が、技術的に上で、それに、MFに向いてるんだよ!
俺は、実質的なキャプテンってなってるけどMFはお前の方が向いてるんだよ!」
「MFだって!? なんで、オレなんだよ!
お前の方が周りからの信頼は厚いだろ!
だったら、お前がやれよ」
「はぁ? MFはお前の方が適任なのになんでそれが、分かんないんだよ!」
「嫌だから」
「この野郎!」
二人のやり取りは中々終わりそうもない。
相手の1年5組男子は全員が心の中で1つの事を思っていた。
それは、『仲間割れしてる奴等には負けないな』と。
それを遠くの方で静観している者がいた。
山森健一と白岩涼子だ。
「ねぇ、健一止めなくていいの?」
「止める必要なんてないだろ。
アイツらを止めたところで、意味が無い。
それに、アイツらは喧嘩してる方が、アイツららしくていい。
それに相手を見てみろよ」
「え?」
「相手の奴等を見れば、全員が勝ち誇った顔をしてやがる。まだ、試合が始まっていないのにだ」
「健一は、榊君たちが『勝つ』と信じてるの?」
「もちろん、アイツらが勝つ」
「どうして、そう思うの?」
「アイツらは、ああやっていつも喧嘩してるがそれは、相手の事をお互いが認めているからだ。
それに、思考パターンが似てるんだよ」
「え?」
「だから、同じ結論に至る」
「………………」
「まぁ、アイツらを信じるしかねぇよ」
「そう……だね」
「さてと、試合開始まで時間があるし、
ゆっくりするかな」
「私も一緒にいい?」
「もちろん」
二人は、いつも通りの仲睦まじさだ。
「蒼……」
「なんだ、勝」
「MFだけど、他の人じゃダメなの?」
「…………」
蒼は、ニヤリと怪しく笑みを見せた。
蒼の口調にも変化が………。
「そうだな、そうするかァ」
「君って、性格変わるよね」
「ハッ、んなこたァ関係ねェ。
おい、室柳」
「なんだよ、榊」
「お前、MFやれ」
「はぁ、そう来ると思ったよ」
「やんのかァ、やらねぇのかァ、どっちなんだよォ」
「はぁ、やるよ。やる以外の選択肢は無いんでしょ」
「当たり前だろォ」
「はぁ、分かったよ」
「さてと、勝。分かってんだろォなァ」
「当たり前さ、オレも本気でやらせてもらう」
「相手が勝ち誇ってるならそれでいい。
いいもの見せてやろうぜェ」
「もちろん」
二人は、喧嘩していた時とは打って変わって、完全に相手の事を理解していた。
そして、試合が始まった。
1年2組は、前半の間は一切攻めに転じずに、守りに徹していた。
得点は一切入らず、0対0のままハーフタイムへ。
5分ほどのハーフタイムを挟むと後半が始まった。
1年5組のキックオフで後半が始まった。
前半とは、打って変わって、FWの二人は、攻め込んでくる相手を無視して、敵陣へと切り込んで行く。
相手のFWは、そのまま進んでいき、MFの二人を突破すると、3人目の室柳を突破しようと、左右に揺さぶりをかけて、突破しようとした時には既に手遅れだった。
一瞬のうちにボール奪うと、敵陣へと切り込んで行った二人に向けて、ボールを蹴り出す。
「榊、鳥桧! 後は頼む!」
それに答えるかのように二人は右手をあげた。
「勝、行くぜェ!」
「分かってるよ」
榊がボールを高く蹴り上げると、その高さよりも遙か高いところに、勝の姿があった。
「全く、ナイスパスだよ。
さて、止められるもんなら止めてみろ!」
勝の放ったシュートは無回転で、相手ゴールに吸い込まれて行く。
相手のキーパーが捕れず、ゴールネットを揺らした。
「ナイスシュート、勝」
「そっちこそ、ナイスパスだよ。蒼」
「さてェ、追加点入れまくるかァ」
「もちろんさ」
そして、後半開始10分で11対0で1年2組の勝ちは決定したも同然だ。
得点配分は、蒼が5点で勝6点だ。
「さて、蒼」
「なんだァ?」
「最後に、止めの1点。入れて来なよ」
「あァ、もちろんだァ!」
「じゃ、行ってきなよ」
勝が、高く蹴り上げたボールに合わせるかの様に蒼は、高く飛びボール蹴った。
そのシュートは、ゴールポストに向かっていき、ゴールポストに当たる寸前で、曲がりゴールに吸い込まれた。
そのシュートが、決まったと同時に試合終了の笛が鳴り響く。
12対0で、1年2組の圧勝だった。
その試合をゆっくりしながら二人の人物が観ていた。
山森健一と白岩涼子だ。
「少しは手加減してやれよ」
「あはははは……12対0って……」
「まぁ、アイツらにそれを求めるのは無理だもんな」
「まぁ、確かにね」
「まぁ、決勝トーナメントまで勝ち上がって来るだろ」
「負けるつもりも、負けてあげるつもりもないんだよね」
「当たり前だ。誰であろうと負けるつもりも負けてあげるつもりもない」
「そろそろ第一試合が全部終わるよ。
準備した方が良いんじゃない?」
「そうだな。相手を軽く戦意喪失させてやるか」
「程々に、ね?」
「あぁ、程々に、な」
第一試合が全て終わった。
第一試合の結果は、1年生の試合は、1年2組男子VS1年5組男子が12対0で2組男子が1年4組男子VS1年3組男子が3対2で4組男子が1年1組女子VS1年6組女子が5対3で1組女子が1年3組女子VS1年5組女子が2対0で3組女子が勝利し、2年生の試合は、2年1組男子VS2年4組男子が8対7で1組男子が2年2組女子VS2年1組女子が1対2で2組女子が勝利し、3年生の試合は、3年5組男子VS3年6組男子が4対3で5組男子が3年1組女子VS3年3組女子が7対3で3組女子が勝利という結果となった。
5分ほどの休憩後に第二試合の開始だ。
そして、2年3組の男子と女子の試合が行われるのは、この第二試合だ。
第二試合の相手は、男女共に5組が相手だ。