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人見知りする碧  作者: くぃかそ 南晶 EARTH 白かぼちゃ うわの空
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優先順位

ごめんなさい。

先に謝ります。


なんか最近あやまってばっかです。

オイオイ。

「うっ…」


沈黙をやぶったのは蹴り飛ばされていたアキラだった。上半身だけ起こして自分を凝視する者に順に視線を向けて状況を探っている。


「えっ…と。お取り込み中?」


苦し紛れの笑いが彼の口から漏れたが、誰も表情を変えなかった。


「もしかして…またアレ?」


アキラがハルカの方を向く。ハルカは声は出さずにコクリと首をたてにふった。


「そっか」


それなりアキラはうつむいた。まるで死刑宣告を受ける前の大罪人のように。


「それで…どうする?」


喋らなくなったアキラをちらりと見て美鈴さんは言った。


「私は連れていけると思う。鈴の音で操られるんだろ?それなら耳をふさいでおけばいい。さっきのアキラの『聞こえない』発言はそういう事だったんだろう?」


沙耶歌もアキラをちらりと見る。

ハルカはどうすべきなのかじっと考えているのか、さっきから固まっている。

レイは―――レイはどう思っているのだろうか。

鈴の音一つで操作されてしまうように育て(つく)られた自分の片割れを。

それが抱えている深い闇の一部を垣間見て、どう思ったのか。


「どうする。私はレイに従う」


再度沙耶歌が言った。重要なことだがあまり時間はかけれない。追ってはすぐ後ろまで迫っていると言っていい。それに自分たちのホームである村に到着すればなんとかなるというものではない。あの村の優しい人たちに迷惑をかけるわけにはいかないのだ。どうにかして撒かなければいけないのだ。過去の忌々しい呪いのような傷も、どこまでも追ってくる信心深い人間達も。


「待てよ」


全員の注意が一気に大道に集中する。健康的な額には青筋が浮かんでいた。


「俺は反対だ。アキラもそしてハルカも連れては行きたくねえ…俺はこれ以上疑いたくはねえが、それは無理だ。問題はアキラじゃねえ、ハルカ、お前だ」

「!」


数人の顔に驚きが走る。

ハルカはやっと顔を上げたが前髪で表情は読めない。口はきゅっと結ばれていて、太ももの横の握りこぶしは白かった。


「ハルカ、答えろ。ハルカ村長ってなんだ」


ゴクリ。

生唾を飲む音が妙に耳に響く。


「…」


ハルカは動かない。


「答えろ。俺が…俺等が納得できる答えなら、俺はまた笑って謝ってお前らと一緒に歩いて行ける。答えろ」


緊張感が肌をさす。

レイも黙っている。アキラも黙っている。


「別にレイがお前を連れていきたいというなら俺は止めねえ。だけど美鈴を連れて俺等は抜ける」

「大道!」

「美鈴。レイ、みんな、悪ぃな。俺はレイやアキラより美鈴のが大事なんだ。美鈴は嫌がっても俺とぬけてもらう」


いつになく真剣な目をしている。私は思った。私はあの眼差しを見るのは初めてじゃない。

知っている。今ならそれがどんなものかわかる。あれは守るために覚悟を決めた目。私が完璧に二人を憎めなかった原因になった目だ。


「大道!それは彼女の気持ちを考えた上での決断か!?」

「ああ。俺はこんな危険なことになると知っていれば車は出さなかった」


いくら言っても意見は変わらないだろう。


「話が逸れたな。ハルカ、もう一度聞く。ハルカ村長ってなんだ。答えろ。別にどんな答えだって俺は構いはしねえ。危害は加えるつもりはねえんだ」


追っ手だろうたくさんの気配がやいやい騒いでいるのを感じる。

アキラは人形のように影が薄い。闇にまぎれてそこにいるとあらかじめ知らなければ、存在に気がつかないだろう。

私は何も言えない。レイも同じ気持ちなのか。ハルカは何を考えているのだろうか。心通いあっていた日からだいぶ遠くに来てみたが、ずいぶんいろいろ変わってしまった。

また、笑えるのか。全てを知って。

ふいに誰かが息を大きく吸って口を開いた気配がした。

EARTHです。

夏です。明後日から私も山に行ってきます。


あえて何も処理できていないというところは触れないということで…



次はうわの空さんです。

おねがいします!

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